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令和4年度 難病等対策協議会の報告

4月 27th, 2023 | Posted by admin in 情報コーナー

 令和5年3月13日17時より、令和4年度島根県難病等対策協議会が出雲市民会館301会議室にて開催されました。会場へ出掛けられない委員はwebで参加しました。私は入院中のため欠席しましたが、事前に委員意見を提出しています。
 資料の中から、ALSに係わることを中心に抜き出して報告します。

(2023/4/25 景山敬二)

令和4年度島根県難病等対策協議会資料

  1. あいさつ
  2. 報告事項
    • 指定難病医療受給者数の推移について
    • 難病医療提供体制整備事業について
      • 難病診療連携拠点病院等の指定状況
      • レスパイト入院支援事業利用状況
      • 在宅人工呼吸器使用患者支援事業
      • 難病医療提供体制整備事業について(難病相談支援センター)
    • 難病相談支援事業等について
      • 難病相談支援センター事業報告(難病相談支援センター)
      • (保健所)難病相談・支援事業等実施状況
    • 難病法の改正について
    • 神経難病患者在宅療養支援のための関係者向け手引きの改訂について
  3. 協議事項
    • 島根県保健医療計画の進捗状況について
    • 島根県における在宅人工呼吸器の取り組みについて
    • 災害対策について
    • コロナ禍の医療体制について
    • 委員からの意見等について
  4. その他

[報告事項]
1.指定難病医療受給者数の推移について

【受給者数】

現時点における指定難病338疾患
指定難病医療受給者数6,375人(令和5年1月末現在)
うち筋萎縮性側索硬化症
98人
前年度末 95人
(令和5年1月末現在)
 

2.難病医療提供体制整備事業について

〇難病診療連携拠点病院等の指定状況

難病診療連携拠点病院(1ヶ所)島根大学医学部附属病院
難病診療分野別拠点病院(2ヶ所)島根県立中央病院(視覚系を除く全疾患群)
国立病院機構 松江医療センター(神経)
難病医療協力病院
(23ヶ所)
松江圏域松江市立病院、松江赤十字病院、松江生協病院、
鹿島病院、安来市立病院
雲南圏域雲南市立病院、平成記念病院、町立奥出雲病院、
町立飯南病院
出雲圏域出雲市立総合医療センター、出雲徳洲会病院
出雲市民病院、斐川生協病院
県央圏域大田市立病院、公立邑智病院
仁寿会 加藤病院(川本町)
浜田圏域国立病院機構 浜田医療センター
済生会江津総合病院
益田圏域益田赤十字病院、津和野共存病院
益田地域医療センター医師会病院、六日市病院
隠岐圏域隠岐病院

○在宅重症難病患者一時入院支援事業利用状況

 県と在宅重症難病患者一時入院(レスパイト)支援事業の制度委託契約を交わした医療機関は7圏域・26医療機関。委託医療機関名を挙げるが、すべての機関で受入れ実績があるわけではない。 患者側としては、介護者の急な発病、希望入院日・日数等には応じてもらえないのがネックとなっている。レスパイト入院の相談・申込みは、難病相談支援センター・各保健所へ。

令和4年度契約先(令和5年1月末現在)

松江圏域松江医療センター、鹿島病院、松江赤十字病院、松江生協病院、
松江記念病院、安来市立病院
雲南圏域雲南市立病院、平成記念病院、町立奥出雲病院、町立飯南病院
出雲圏域出雲市民病院、出雲市立総合医療センター、斐川生協病院
県立中央病院、出雲徳洲会病院、島大附属病院
県央圏域大田市立病院、公立邑智病院、加藤病院(川本町)
浜田圏域浜田医療センター、済生会江津総合病院
益田圏域益田赤十字病院、益田医師会病院、津和野共存病院、六日市病院
隠岐圏域隠岐病院

〇在宅人工呼吸器使用特定疾患患者訪問看護治療研究事業利用状況

 この事業は、筋萎縮性側索硬化症・多発性硬化症・脊髄小脳変性症等により在宅で人工呼吸器を使用している患者のうち、医師が訪問看護を必要と認める患者を対象としている。
 訪問看護ステーションに訪問看護を委託し、診療報酬において定める回数を超えた訪問看護を実施する場合には、原則として1日につき4回目以降(ただし、特別な事情により複数の訪問看護ステーション等医療機関により訪問看護を実施する場合にはこの限りではない)の訪問看護について、患者1人当たり年間260回を限度として費用を支払うものとする。
 利用状況表を見ると、1人の患者に複数回利用していることがわかる。

[利用状況]

  • 松江圏域 5ヶ所の訪問看護ステーション(前年度より2ヶ所増)
  • 出雲圏域 3ヶ所の訪問看護ステーション
  • 浜田圏域 1ヶ所の訪問看護ステーションが過去・現在に利用経験がある

○難病医療提供体制整備事業報告

・難病診療連携コーディネーターの活動報告
 難病診療連携コーディネーターが対応する相談件数は1,275件(令和4年12月末現在 前年同期1,257件)。相談者はコロナ禍でも減ることはなく、コロナ禍故の相談も増えていると推測でき、難病療養の厳しさがうかがえる。新規が1.9%、継続が98.1%とほぼ継続相談が占めている。相談内容は、病気病状がトップで、続いて意思伝達装置・治療服薬・日常生活・レスパイト入院・福祉制度・医療機関対応・福祉機器・精神面・医療機関情報・入院調整となっている。前年同月比で割合が増えた内容項目は、レスパイト入院、医療機関対応、精神面、医療機関情報、入院調整であり、感染対策のため医療機関で行われている面会禁止が要因であると推察できる。
 そのほか、個別のケース会議が54件(退院前・在宅サービス・コミュニケーション・治療選択・災害に関する支援会議)。 入退院の調整はレスパイト的入院が9件、長期入院・入所が3件で、12件すべてがALSである。このことからもALSの介助・介護・療養がいかに苛酷であるかが伺える。

※画像をクリックするとPDFが表示されます。

3.難病相談支援事業等について

〇難病相談支援センター事業報告

 ヘルスサイエンスセンター島根内にある“しまね難病相談支援センター“は、難病患者・家族の各種相談やレスパイトを含む入院先の調整、就労・患者会活動支援など多岐にわたる難病患者の支援活動を行っている。

 年度(令和4年12月末日現在)の総相談件数は733件(前年同月626件)。相談者内訳は、新規が112件(15.3%)、継続が621件(84.7%)である。難病診療連携コーディネーターが対応する相談と共に、やはり継続相談が多い。治療法があれば寛解で相談も終わるが、治療法のないことで患者やその家族の悩み・不安は尽きることがなく、難病ならではの傾向と言えよう。

 地域別では人口の多い県東部が8割以上を占め、わずかだが県外も寄せられている。同様の機関は各都道府県が設置しているが、藁をもすがる思いで他の自治体の機関へ相談する気持ちもよく理解できる。相談方法では、コロナ禍のためか、電話が半数以上を占めているが、訪問や面談も徐々ではあるが見られるようになってきた。疾患別でみると神経・筋疾患は302件と全体の41.2%を占め最も多い。次いで免疫系、代謝・内分泌系、視覚の網膜色素変性症と続く。この傾向はここ数年変わらず、このことからもALS(筋萎縮性側索硬化症)・パーキンソン病・重症筋無力症などの神経・筋疾患を抱えての療養生活の過酷さが推し量られる。ALSのみは1件と前年度から減少している(前年度5件)が、より専門的な難病診療連携コーディネーターが対応していると推測される。
 支部も共催している難病サロンは、新型コロナウイルス感染症対策でこの3年間すべて中止となった。

 患者会活動支援も各会の活動が感染予防のため縮小し、交流会・総会等の開催支援の機会が減った。

 難病相談支援センターは各保健所と連携し、各種相談にあたっている。

4.難病法の改正について

 改正の概要として、①難病患者及び小児慢性特定疾病児童等に対する適切な医療の充実及び療養生活支援の強化、②障害福祉サービス等、指定難病及び小児慢性特定疾病についてのデータベースに関する規定の整備、が挙げられ、令和6年4月1日に施行される見込み。

[協議事項]
2.島根県における在宅人工呼吸器の取り組みについて

 2010年度、島根県では人工呼吸器を装着して在宅療養する患者が増加していたことから、県内の人工呼吸器使用患者を対象に人工呼吸器及び回路、接続部品によるトラブル経験や機器等の保守点検の実態調査を実施。その結果、半数以上の在宅療養者が人工呼吸器本体、回路、接続部品についてのトラブルを経験していた。
 このことから2011年度より「在宅人工呼吸器の医療安全に係る報告システム」を運用し、トラブル事例を県全体で収集し、原因や再発予防対策について関係機関に還元することで事故予防対策に対する注意喚起を行ってきた。
 2011年度には、「在宅における人工呼吸器の安全使用のためのガイドライン」を作成し、安全な在宅療養をするために、家族をはじめ、在宅療養に関わる関係者が安全管理の参考にできるよう活用をすすめてきた。
 それらにより人工呼吸器のトラブルの報告数は、年々減少している。
 今後の取組み案として、今年度「在宅人工呼吸器の医療安全に係る報告システム」については現状に合わせ要領改正を行い、関係機関に改正周知と合わせ、制度の再周知を行う。
 2023年度~24年度においては、上記システムを運用し、トラブル事例を収集および分析を行う。また「在宅における人工呼吸器の安全使用のためのガイドライン」の活用状況について把握した上で、改訂に向け必要性も含め検討して行く。

3.災害対策について

 島根県の在宅難病患者の災害時支援の現状は、従来から要援護者リストの作成や、個別支援計画の策定などの取り組みを行っている。平成26年度には在宅難病患者災害時支援ワーキングを開催し、県・保健所・難病相談支援センターの役割整理および各種様式の作成が行われ、災害対策の充実に向けて検討が行われた。
 ワーキングから約10年が経過し、保健所の災害対策は従来通り行われているが、要援護者リストの対象者や優先順位、その様式等は各保健所の取り決めで実施されており共通の取扱いとなっていない。そのため実際に災害が起こったときの対応に混乱を来す可能性があり、改めて体制整備を行う必要がある。
 難病患者等に係る避難体制等の整備は、内閣府・厚生労働省通知により、市町村との情報共有等の仕組みの構築などの体制整備について示されている。現在、本県の各市町村との情報共有についてはそれぞれで進捗状況が異なっており、各市町村との連携を進めていく必要がある。
 今後の取組みとして、令和5年度より難病災害対策ワーキングを開催し、島根県の難病災害対策について検討を行う。
 これよりは資料を読んでの私の見解だが、一口に難病といっても疾患や進行の度合いで災害時に必要となる対応は異なる。また、住居地特有の災害もあるので、すべてを行政に任せず、日頃からある程度の個別の備えは必要であろう。

5.委員からの意見等について

令和4年度島根県難病等対策協議会 委員意見

日本ALS協会島根県支部
支部長 景山敬二

 日頃より、難病対策の推進ならびにご支援にご尽力を賜り、厚く御礼申し上げます。
 難病当事者として、更なる療養環境の改善支援の方策として次の点を要望致します。

 近年は、10年に一度と言われるような大雨が毎年のようにどこかで降り、河川氾濫や家屋への浸水被害・土砂崩れなどの災害が発生しています。また、大地震や想定外の降雪も懸念されています。
 災害時にはALSに限らず、難病患者は最弱者となってしまいます。なかでも災害による停電は、在宅人工呼吸器利用者にとっては命を落とす危険性があります。私たちは万一の時に備え、バッテリーやアンビューバッグを用意していますが、それも長時間の停電には対応できません。実際に東日本大震災では、原発事故後の東京電力管内における計画停電で、在宅療養の人工呼吸器装着ALS患者が1名亡くなったという情報を聞きました。
 各保健所には長時間停電に備え発電機が準備してあるそうですが、在宅人工呼吸器利用患者の安否確認のシステムは確立しているでしょうか?
 昨年、埼玉県は県・人工呼吸器メーカー・日本ALS協会埼玉県支部との3者間で、災害時における在宅ALS患者の安全を確保し情報を共有する協定を全国で初めて締結したと発表しました。しかし、在宅で人工呼吸器を利用しているのはALSに限られたことはないと思います。
 島根県においては、在宅で人工呼吸器を利用しているすべての難病患者を対象にした同様の協定があれば患者も家族も安心して暮らせると感じます。
 埼玉県が発表した文書を添付いたします。
 ご検討のほど、よろしくお願いします。

埼玉県協定

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県の回答

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