「平成29年度 難病等対策協議会の報告」
先日、平成29年度 島根県難病等対策協議会が開催されました。出席はできませんでしたが、事前に委員意見を提出しています。
協議会後、県の担当者から資料を送っていただきました。資料の中からALSに係わることを中心に抜き出して報告します。提出した委員意見は[4.協議事項]で説明・協議されたようです。委員意見に対する県の回答は、送られて来次第に報告します。
(2018/4/7 景山敬二)
平成29年度島根県難病等対策協議会
と き:平成30年3月3日(土)
14:00~16:00
ところ:出雲保健所大会議室
次 第
- あいさつ
- 報告事項
- 指定難病医療受給者数の推移について
- レスパイト事業について
- 難病相談支援センター事業について
- 難病医療提供体制整備事業について
- ヘルプマーク・ヘルプカードの交付について
- 難病患者への就労支援について(島根労働局より)
- 協議事項
- 新たな難病医療提供体制の構築について
- 委員からの意見等について
- その他
- 指定難病とすべき疾患の追加について
- その他
[報告事項]
○指定難病医療受給者数の推移について
【受給者数】
指定難病医療受給者数 5,756人(平成30年2月末現在)
うち筋萎縮性側索硬化症 90人(平成30年2月末現在)
前年度末 84人
○レスパイト事業について
県と在宅重症難病患者一時入院(レスパイト)支援事業の制度委託契約を交わした医療機関は今年度2医療機関が加わり、7圏域・24医療機関(H30年2月末現在)。委託医療機関名を挙げるが、すべての機関で受入れ実績があるわけではない。委託医療機関であっても制度を利用しない受入れもあり、県と契約をしていない医療機関のレスパイト受入れもある。レスパイト入院の申し込みは、各保健所へ。
圏域 |
委託医療機関名 |
松江
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松江赤十字病院 |
鹿島病院 |
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松江医療センター |
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松江生協病院 |
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松江記念病院 |
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安来市立病院(H29/8~) |
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雲南 |
雲南市立(総合)病院 |
平成記念病院 |
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町立奥出雲病院 |
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出雲 |
出雲市民病院 |
島根県立中央病院 |
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出雲市立総合医療センター |
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斐川生協病院 |
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出雲徳州会病院 |
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島根大学医学部附属病院 |
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県央 |
大田市立病院 |
公立邑智病院 |
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浜田 |
浜田医療センター |
済生会江津総合病院(H29/8~) |
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益田 |
益田赤十字病院 |
益田地域医療センター医師会病院 |
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津和野共存病院 |
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社会医療法人石州会六日市病院 |
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隠岐 |
隠岐広域連合立隠岐病院 |
○難病相談支援センター事業について
ヘルスサイエンスセンター島根内にある“しまね難病相談支援センター“は、難病患者・家族の各種相談やレスパイトを含む入院先の調整、就労・患者会活動支援など多岐にわたる難病患者の支援活動を行っている。
年度(H29年12月31日現在)の総相談件数は617件。疾患別でみると神経・筋疾患は201件と全体の32.6%を占め最も多い。このことからもALS(筋萎縮性側索硬化症)・パーキンソン病・重症筋無力症などの神経・筋疾患を抱えての療養生活の過酷さが推し量られる。ALSのみは11件とほぼ前年度並み(前年度12件)。
支部も共催している難病サロンは、各地で14回開催し、参加人数は172名。難病患者・家族の交流・情報交換の場となると共に、看護学生・研修医には難病患者・家族の声を聞ける学びの場ともなっている。
難病相談支援センターは各保健所と連携し、各種相談にあたっている。
○難病医療提供体制整備事業について
難病医療専門員が対応する相談件数は1,068件。相談実人数が70名であることから、1人が複数回相談していると思われる。相談件数の8割を超える866件がALSである。ALS患者の療養環境の過酷さがうかがえる。相談内容は、療養相談がトップで、続いて福祉制度・レスパイト的入院・意思伝達装置・入転院・患者会他となっている。
難病医療専門員は、ALS患者・家族にとって頼もしい存在である。
・「難病コミュニケーション支援者向けハンドブック」作成について
目 的:
難病患者家族の支援者が、どこに相談するのか、どんな支援が受けられるのか、今後どのような体制が必要なのかを明確にし、コミュニケーション支援の質の向上を図る
予 定:
1.関係機関からの意見をもとに修正中
2.平成30年4~6月関係機関に配布
(複数の関係機関HPからもダウンロードできるようにする)
alskanja
[協議事項]
○新たな難病医療提供体制の構築に向けて実施計画
島根県健康福祉部健康推進課
<主旨>
地域の実情に応じた柔軟な医療提供体制の構築に向け、国が示した基準に基づいて医療機関の指定を行う。
平成30年2月末現在の難病医療拠点病院等
難病医療拠点病院 (3ヶ所) |
松江圏域 |
国立病院機構松江医療センター |
出雲圏域 |
島根大学医学部附属病院、島根県立中央病院 |
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難病医療協力病院 (15ヶ所) |
松江圏域 |
松江赤十字病院、松江市立病院、松江生協病院、 地域医療機能推進機構玉造病院、安来市立病院 |
雲南圏域 |
雲南市立病院、平成記念病院 |
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出雲圏域 |
出雲市立総合医療センター、出雲徳洲会病院 |
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大田圏域 |
大田市立病院、公立邑智病院 |
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浜田圏域 |
国立病院機構浜田医療センター |
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益田圏域 |
益田赤十字病院、津和野共存病院 |
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隠岐圏域 |
隠岐病院 |
○委員からの意見等について
① 全国パーキンソン病友の会島根県支部
★県内の各難病団体に対し、資金援助を希望します。
(年間予算計画、事業提出による)
② 山陰網膜色素変性症協会
<話し合いたいこと>
★稀少難病の患者へのサポートはどうしたら良いか。
・心の不安や悩み、生活、福祉、就労等
★中・軽程度の難病の患者は、障がい者でもなく健常者でもない。そんな「すきま」で生きていくためにはどうしたら良いか。
・心の不安や悩み、生活、福祉、就労等
・特に就労継続
(例1)
40歳代男性、眼の難病が原因でやむを得ず職場は退職。盲学校へ行くことを決意。盲学校での3年間の生活資金がない。
(例2)
40歳代女性、徐々に視力と視野が進行し、夜盲症もあるが、生活と家族のためになんとか頑張って働いている。車の運転も怖くなってきた。身体障害者手帳も受けれない状態。指定難病にもならない。盲学校に行って資格を取りたいが、3年間の生活資金がない。
<質問>
★全般に難病の患者で一般の雇用がなかった場合、障害者継続就労支援事業A型に当てはまるのか。
③ 日本ALS協会島根県支部
平成29年度島根県難病等対策協議会 委員意見
日本ALS協会島根県支部
支部長 景山敬二
平素の難病施策ならびにご支援に厚く御礼申し上げます。
難病当事者として二点の要望を申し入れます。
1.入院中における重度訪問介護を利用したヘルパーの付添いについて
平成30年度から入院時のヘルパーの付添いにも重度訪問介護が利用可能となるようです。
我々ALS患者は体位調整など各々で独自な介護を必要とします。その上、独特のコミュニケーション法を利用しますので、意思疎通に時間がかかり病院スタッフに煙たがれてしまいます。たとえコミュニケーション介助だけでも、慣れたヘルパーが付き添うことは患者・病院の双方に有益なことと見込まれます。
島根県内では、ここ数年、毎年90人前後のALS患者が療養生活を送っています。2014年末の政府統計資料によると、人口の1万人あたりの患者数の全国平均が0.78人です。それに対し、島根県は1.29人であり、どこよりも多くなっています。もちろん、この数値は発症率ではありませんし、人口という分母が少ない島根県では1人の患者が出れば一気に跳ね上がる数値でもあります。症状が似ている他の神経難病患者も合わせれば、比率はもっと上がることと思われます。
その点を鑑み、重度訪問介護の事業実施主体である市町村への周知・指導をお願いいたします。
2.引き続き医療的ケアのできる介護職員が増えるよう対策をしてください
昨年度もこの場においてお願いしましたが、引き続き対策をお願いします。
昨年の支部総会でも、「吸引の出来るヘルパーが不足したため、在宅療養が出来なくなった」「吸引資格を持つヘルパーが限られるため、資格の無いヘルパーの時間は家族が仕事に出掛けられない」「家族はいつ仕事を辞めなければならなくなるかわからない不安を抱えながら働いている」といった声が多く寄せられました。
医療的ケアのできるヘルパーを増やし、難病患者の家族が安心して暮らせるようによろしくお願いいたします。
④ 隠岐広域連合立隠岐病院
最近、隠岐の島町内の筋萎縮性側索硬化症の患者が増えて、現在6名おります。町内の人口は、約14,500名にて非常に有病率が高い状況です。
隠岐の島町内には、入院可能な病院は当院(一般病床91床)のみで、慢性期病床はありません。在宅に関しては、介護力の問題もあり、また、訪問診療に関しては、開業医は3名のみ(60歳代後半~70歳代と比較的高齢)で、また、当院もマンパワーの問題で困難な状況にあります。
病状進行時には、気管切開及び胃ろう栄養希望される可能性も相当あり、今後の対応に苦慮しております。
島後医療圏の問題ではありますが、ご助言を頂ければ助かります。