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令和元年度 難病等対策協議会の報告

4月 1st, 2020 | Posted by admin in 支部の活動報告

 令和231日に、ニューウェルシティ出雲にて令和元年度 島根県難病等対策協議会が開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染症対策のため中止になりました。協議会は、県健康福祉部健康推進課から各委員へ資料を送り、意見を返す形となりました。当支部からは事前に委員意見を提出しています。

 資料の中からALSに係わることを中心に抜き出して報告します。提出した委員意見は[4.協議事項]で説明されています。支部の委員意見に対する県の回答と、中止後に各委員から寄せられた意見と県の回答を併せて報告します。

2020/4/1 景山敬二)

令和元年度島根県難病等対策協議会

次 第

  1.  あいさつ
  2.  会長選出
  3.  報告事項
    •  1) 島根県保健医療計画「難病対策の推進」の進捗状況について
      • ① 指定難病医療受給者数の推移について
      • ② 難病医療提供体制整備事業について
        •  難病診療連携拠点病院等の指定状況
        •  在宅重症難病患者一時入院支援事業利用状況
        •  在宅人工呼吸器使用特定疾患患者訪問看護治療研究事業利用状況
        •  難病医療提供体制整備事業報告
      • ③ 難病相談支援事業等について
        •  難病相談支援センター事業報告
        •  保健所における難病相談・支援事業等実施状況
      • ④ [施策の方向]について
    • 2) 難病患者への就労支援について(島根労働局より)
    • 3) 難病法施行5年後の見直しについて(情報提供)
  4.  協議事項
    • 1) 委員からの意見等(検討、意見交換した事項)について
  5.  その他

[報告事項]

〇指定難病医療受給者数の推移

【受給者数】

指定難病医療受給者数       6,011人(令和21月末現在)

うち筋萎縮性側索硬化症        86人(令和21月末現在)

            前年度末 97

〇難病診療連携拠点病院等の指定状況

難病診療連携拠点病院等の指定状況

〇在宅重症難病患者一時入院支援事業利用状況

 県と在宅重症難病患者一時入院(レスパイト)支援事業の制度委託契約を交わした医療機関は7圏域・24医療機関。委託医療機関名を挙げるが、すべての機関で受入れ実績があるわけではない。

 患者側としては、介護者の急な発病、希望入院日・日数等には応じてもらえないのがネックとなっている。レスパイト入院の相談・申込みは、難病相談支援センター・各保健所へ。

在宅重症難病患者一時入院支援事業利用状況

〇在宅人工呼吸器使用特定疾患患者訪問看護治療研究事業利用状況

 この事業は、筋萎縮性側索硬化症・多発性硬化症・脊髄小脳変性症等により在宅で人工呼吸器を使用している患者のうち、医師が訪問看護を必要と認める患者を対象としている。

訪問看護ステーションに訪問看護を委託し、診療報酬において定める回数を超えた訪問看護を実施する場合には、原則として1日につき4回目以降(ただし、特別な事情により複数の訪問看護ステーション等医療機関により訪問看護を実施する場合にはこの限りではない)の訪問看護について、患者1人当たり年間260回を限度として費用を支払うものとする。

[利用状況]

  松江圏域 2ヶ所の訪問看護ステーション

  出雲圏域 2ヶ所の訪問看護ステーション

  浜田圏域 1ヶ所の訪問看護ステーションが利用

〇難病医療提供体制整備事業報告

・難病診療連携コーディネーターの活動報告

 難病診療連携コーディネーターが対応する相談件数は1,038件(令和元年12月末現在)。相談実人数が65名であることから、1人が複数回相談していると思われる。相談件数の7割近くとなる684件がALSである。ALS患者の療養環境の過酷さがうかがえる。相談内容は、療養相談がトップで、続いて意思伝達装置・入転院・福祉制度・患者会・レスパイト的入院・福祉機器となっている。

 そのほか、個別のケース会議が30件(在宅サービス・退院前・治療選択・災害・コミュニケーションに関する支援会議)、入転院の調整が6件である。

図1 県内ALS患者の状況

〇難病相談支援事業等について

・難病相談支援センター事業報告

 ヘルスサイエンスセンター島根内にある“しまね難病相談支援センター“は、難病患者・家族の各種相談やレスパイトを含む入院先の調整、就労・患者会活動支援など多岐にわたる難病患者の支援活動を行っている。

 年度(令和元年1231日現在)の総相談件数は512件(前年同月468件)。相談者内訳は、新規が107件(20.9%)、継続が405件(70.1%)である。疾患別でみると神経・筋疾患は160件と全体の31.3%を占め最も多い。この傾向はここ数年変わらず、このことからもALS(筋萎縮性側索硬化症)・パーキンソン病・重症筋無力症などの神経・筋疾患を抱えての療養生活の過酷さが推し量られる。ALSのみは13件とほぼ前年度並み(前年度10件)。

 神経内科・眼科など医師等による専門相談も各圏域で13回開催し、46の相談件数実績を残している。

 支部も共催している難病サロンは、各地で10回(出雲市4・松江市2・大田市・邑南町・浜田市・益田市各1回)開催し、参加人数は96名。難病患者・家族の交流・情報交換の場となると共に、看護学生・研修医には難病患者・家族の声を聞ける学びの場ともなっている。

 難病相談支援センターは各保健所と連携し、各種相談にあたっている。

・保健所における難病相談・支援事業等実施状況

 保健所においては、『患者・家族教室』『ピアサポート・ボランティア養成』『難病医療研修』『難病フォーラム』等を開催して支援にあたっている。『患者会支援』も行い、支部も会報や総会の案内状を県内の全ALS患者に配布してもらっている。

 また、『在宅療養支援計画策定・評価事業』『訪問相談事業』『訪問指導事業』で、主にALSはじめ神経難病患者の療養支援やQOLの向上にあたっている。さらに各圏域で『難病対策地域協議会』を開き、市町村や病院・訪問看護ステーション・介護事業所などと意見・情報交換を行っている。

[協議事項]

○委員からの意見等について

 【日本ALS協会島根県支部】

令和元年度島根県難病等対策協議会 委員意見

日本ALS協会島根県支部
支部長 景山敬二

 平素の難病施策ならびにご支援に厚く御礼申し上げます。

 難病当事者として、更なる療養環境の改善を申し入れます。

  1. この数年、医療的ケアのできる介護職員の増員対策を要望してきました。現時点において、特定の者に対する医療的ケア(第三号)の資格を取った介護職員の人数を圏域別に教えてください。また、資格を取り登録したものの、現在は在宅現場で活かしていない介護職員の人数も教えてください。
    今年度の支部総会において、全県的に医療的ケアのできる介護職員はおろか、訪問介護職員そのものが不足していると話題になりました。
    医療的ケアを行うことは、介護職員に精神的負担を与えます。そのことは登録者が増えない要因と考えられます。その負担に見合った報酬増加の策をお願いします。
    かつて、島根県は国に先駆け、どこの自治体より早く『在宅重症難病患者一時入院支援事業』を制度化し、のちの国の補助事業に結び付いた実績があります。ぜひ、医療的ケアのできる介護職員の増員策にも先駆けとなる制度の実現をお願いします。
  2. ALS患者が在宅療養を過ごすには、訪問介護の派遣は欠かせません。しかし介護保険の範疇では時間が不足するため、多くの患者が重度訪問介護を利用しています。個人的には、介護の中でも重度訪問介護は『その人らしく』、『人間らしく』生きるためには欠かせないものであると感じています。是非とも、実施主体である市町村へ支給時間を渋らぬよう指導してください。
    また、入院中における重度訪問介護を利用したヘルパーの付添いについても、市町村へ更なる指導をお願いいたします。
    ナースコールを押せなく、自身の意思も発信できない重度ALS患者の場合、見守りは命にも関わる重要なことでもあります。今年度の支部総会で、支部顧問の神経内科医も「昔は病院では付き添いさんがいました。ケアを行う看護師とは別に、側にいる人が必要。技能は無くても側にいることができる人も大事なのでは」と発言されました。コミュニケーションの観点からも、患者・病棟スタッフ双方に有益であると考えます。

<県の回答>

健第1489号の3
令和2325

日本ALS協会島根県支部
支部長 景山 敬二 様

島根県健康福祉部健康推進課長
(難病支援グループ)

令和元年度島根県難病等対策協議会における要望について

 本県の難病対策の推進につきまして、平素から格別のご協力をいただきありがとうございます。
さて、標記協議会につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止への対応として、開催を中止したところですが、事前に貴会から申し入れのありました要望につきまして、下記のとおり回答します。
なお、今回の回答につきましては、協議会での協議は経ておらず、島根県としての回答となりますので、ご承知おきください。

  1. 医療的ケアのできる介護職員数について
    令和元年91日現在の認定特定行為業務従事者研修(3)の圏域別修了者数は次のとおりです。
    医療的ケアのできる介護職員数について

    なお、資格を取り登録したものの、現在は在宅現場で勤務していない介護職員の人数につきましては、痰吸引登録事業者の登録簿がありますが、最新の人数更新等がなされていない事業所もあるため、正確な人数は把握できておりません。

  2. 医療的ケアのできる介護職員の負担に見合った報酬増加算について
    介護職員による医療的ケアの実施に関連した報酬につきましては、介護保険あるいは障がい福祉サービスにおいてそれぞれ加算があり、平成30年度の報酬改定においても対応強化等が図られたところです。
    県としましては、今後も、現場の声を聞きながら、必要に応じて国に対し働きかけを行ってまいります。
  3. 国に先駆けとなる医療的ケアのできる介護職員の増員策の実現について
    《介護保険サービス》
    県(高齢者福祉課)においては、医療的ケアができる介護職員や指導看護師を養成するための研修を関係機関への委託により実施しているところです。
    また、医師会や看護協会、事業者団体等の委員で構成された「介護職員の行う医療的ケア関係業務に関する検討委員会」を毎年度開催しており、研修の実施方法や介護職員等の育成等について意見交換を行っています。《障がい福祉サービス》
    県(障がい福祉課)において、平成30年度から「障がい福祉従事者の専門性向上のための研修受講促進事業」として、福祉サービス事業所の現任職員が喀痰吸引等研修のために派遣される場合に代替職員を雇用又は労働派遣事業者から派遣を受けた場合は、補助金を交付する制度を実施しています
  4. 重度訪問介護について
    重度訪問介護は、基本的には見守り等支援を含む長時間にわたる支援を想定していることから、利用者一人ひとりの事情を踏まえて適切な支給時間等決定することとなっています。
    県(障がい福祉課)では、例年3月に障がい施設や障害福祉サービス事業所、市町村等行政機関を対象に説明会を開催し、制度の内容や報酬の内容等を周知していますが、今年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止への対応として開催を見送り、代わりに323日に市町村担当職員のみを集めた説明会を開催し、指導を行ったところです。
    また、平成30年度から、入院中の利用者に対し、重度訪問介護を利用したヘルパーによる支援を行うことができるようになりましたが、利用者数の実績を見ますと、県内でもわずかな人数にとどまっていることから、県内での実施が広がるよう引き続き周知を行ってまいります。

 【島根大学医学部附属病院委員】

神経難病だけでなく、呼吸器や心臓に問題があり、遠方への通院が難しい方の地域での連携を深めていくシステムを作っていただけたらと思います。

<県の回答>

 遠方への通院が難しい方に対する地域での連携・支援については、難病患者に限らず必要なことと考えています。

 様々な課題はありますが、神経難病を始めとした様々な難病患者に対して、どのような仕組み作りをしていく必要があるのか等、今後、皆様方のご意見等を伺いながら検討していきたいと考えています。

 【松江市障がい者福祉課委員】

ALS協会委員の意見に対し)

ALS患者の在宅療養時の重度訪問介護について

 「その人らしく」「人間らしく」とはどの程度まで重度訪問介護サービスで対応すべきか。

〇入院中における重度訪問介護ヘルパーの付添いについて

 入院の重度訪問介護の利用については、利用者が病院等の職員との意思疎通を図る上で必要な支援等が基本と考えていますが、「ナースコールを押す」「見守り」「昔は病院では付添い」について、サービスで対応すべきか。

 県の見解を当市にもご教示願います。

<県の回答>

ALS患者の在宅療養時の重度訪問介護について

 利用者一人ひとりの事情を踏まえた適切な支給量の決定や支援を行うことが大切なことであると考えています。

〇入院中における重度訪問介護ヘルパーの付添いについて

 意思疎通を図るために必要な見守り及び見守りの時間内のナースコールを押す行為は報酬の対象となるものと考えます。

 一方、入院中の付添いについては、健康保険法の規定による療養の給付等との重複の観点から報酬の対象とすることは出来ませんが、患者の負担により、その入院中に付添い者を付けることは差し支えないものとされています。


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