当支部は、県より難病医療連絡協議会委員の選出を委託されています。昨年度までの谷田副支部長に替わり、今年度から私が委員を務めています。
このほど今年度の協議会が開催されましたので報告いたします。
(2013/03/10 景山敬二)
平成24年度島根県難病医療連絡協議会
とき:平成25年2月23日(土)
10:00~12:00
ところ:パルメイト出雲
<次第>
- 開会
- あいさつ(島根県健康福祉部 中川医療統括監)
- 会長選出
- 議事
- 報告事項
- 保健所における実施状況について
- 難病相談支援センターにおける実施状況について
- 協議事項
- 難病対策の改革について(提言)
- 在宅重症難病患者一時入院支援事業について
- 在宅における人工呼吸器の安全のためのガイドラインのアンケート調査結果について
- たん吸引登録事業所状況について
- 報告事項
- 閉会
協議会委員は、県内の難病医療拠点病院の医師・難病医療協力病院の医師・医師会の代表・訪問看護ステーション協会の代表・患者団体の代表・関係行政機関の職員で構成されており、当日は医師10名・看護師1名・患者2名・行政2名の委員が出席した。(患者団体は、全国パーキンソン病友の会島根県支部と日本ALS協会島根県支部)
オブザーバーとして7保健所の職員、事務局として県健康福祉部とヘルスサイエンスセンター島根から8名が参加した。(財団法人島根難病研究所は、H24年に公益財団法人ヘルスサイエンスセンター島根に改称)
会長に選任された島根大学医学部附属病院の山口教授が議長を務められ、議事が進んだ。
報告事項の中で興味深かい話が二点あった。ひとつは在宅での人工呼吸器の事故報告例。多数の支援者が係わる中で、マニュアルの統一は必要不可欠である。患者には症状や感覚に個人差があるため、個別のマニュアル作成が必要となるが、その際には県が作成した「在宅における人工呼吸器の安全使用のためのガイドライン」*が参考になると思われる。
ふたつ目は、意思伝達装置等の貸し出し事業において、「貸し出し機器をレンタルするだけでなくサポートする体制が必要」との課題が示されていたこと。障害の固定しない進行性難病では、患者の残された機能を活かすことが重要となり、その機能を見極めながら機器を選択したり、場合によっては市販されている入力装置の改造も必要となる。そのため、作業療法的評価と電子機器の知識を併せ持つサポーターが必要ではないか。相談窓口に島根県作業療法士会(松江医療センター内)があるとの有益な情報が提示された。
*「在宅における人工呼吸器の安全使用のためのガイドライン」の冊子は在庫がなくなったが、島根県のホームページからダウンロードが可能。
島根県→組織別情報→健康福祉部→健康推進課 http://www.pref.shimane.lg.jp/kenko/
→母子保健→在宅における人工呼吸器の安全使用のためのガイドライン
協議事項に入る前に時間を頂き質問と要望を述べ、関連の協議の中で回答を頂いた。
回答は「 」で記す。一部、当日の配布資料の表を文章化していることを了承頂きたい。
<レスパイト入院について>
- ・本県独自の『在宅重症難病患者一時入院支援事業』はどれくらい受け入れの拡大につながっているのでしょうか?
「制度を新設したH21年度の利用者が3名・受け入れ病院は4。 H22年度、利用者6名・受け入れ病院6。 H23年度、利用者18名・受け入れ病院9。 H24年度、利用者15名・受け入れ病院13。年々増えている。利用者の疾患別では、圧倒的にALSが多い。」
- ・県西部でのレスパイト入院の受け入れ状況はどうなっているでしょうか?
「圏域別の委託契約病院数は、松江4・雲南1・出雲4・大田1・浜田0・益田2・隠岐1となっている。浜田圏域のみ空白。(資料では病院名も記してあったが、ここでは省略)」
「浜田医療センターでは、受け入れを拒否しているわけではありません。が、ご存知のように常勤の神経内科医が不在のため、他の病院のような専門的医療が出来ないことをご了承願いたい。」(浜田医療センター委員)
- ・ぜひ、病院側へも『在宅重症難病患者一時入院支援事業』を広く知ってもらい、受け入れの拡大につなげて下さい。
<介護職の医療的ケアの研修について>
- ・今年度から介護職による医療的ケア(たん吸引・経管栄養)が法制化されました。以前の厚労省通達に基づきヘルパーによる吸引をしている事業所は、松江と出雲両保健所管内のみと聞いています。県西部にも在宅難病療養者はいますが、西部地区での登録事業所はあるでしょうか?また、登録事業所は公表されているでしょうか?
「担当課ではないので(担当は高齢者福祉課)明確なご返答は出来ないが、資料を見る限り吸引の登録事業所は松江市と出雲市のみです。ただ、資料の一覧をまとめた以降に登録した場合もあるので、西部地区にもあるかもしれません。」
- ・他県では、登録事業所の申請の煩雑さと違反時の罰則が定められたことから、ヘルパーを引き上げる事例が相次いで報告されています。本県ではそのような苦情は寄せられていませんでしょうか?
- ・人工呼吸器を装着しての在宅療養にはヘルパーによる痰の吸引が不可欠ですが、新規に在宅を始める場合、現行の年一回の県による研修ではとても間に合いません。その際の対応策はどうなるのでしょうか?
「登録事業所内での研修になると思います。」
- ・研修を終了したヘルパーへの登録認定書の発行に時間が掛り、その間利用者宅へ入れないでいます。時間短縮をお願いします。
「担当課に伝えます。特に登録手続きの時間短縮については強く申し伝えます。」
<しまね医療情報ネットワーク(まめネット)*について>
- ・在宅患者のレスパイトには在宅医と受け入れ病院の連携が必須です。しまね医療情報ネットワークが県の運営ではないことは承知の上での提案ですが、民間の運営であっても、あるものは最大限利用してはいかがでしょうか。(実際は県がNPO法人に運営を委託しており、実質は県が運営していることが判明)
- ・ネットワークのホームページを見たところ、現時点で情報提供施設は県立中央病院のみとなっています。施設の拡大を働きかけてほしいと思います。
「H25年度中にネットワーク化した病院は県の助成が受けられるので、今年は情報提供施設がもっと増えると思います。実際に計画を進めている病院も多数です。」
*しまね医療情報ネットワーク(まめネット)への参加は患者側の同意登録が必要。詳細はネットワークのサイト http://www.shimane-inet.jp/index.html を参照されたい。