「平成28年度(第18回)日本ALS協会島根県支部 定時総会」
7月3日 松江保健所(いきいきプラザ島根 403研修室)
会次第
開会挨拶
- 支部長挨拶 景山敬二
- 日本ALS協会 岡部宏生会長メッセージ
- 来賓代表挨拶 島根県健康福祉部 健康推進課課長 村下伯 様
- 来賓・顧問紹介
- 議案審議
- * 議長選任
- イ) 第1号議案 27年度事業報告
- ロ) 第2号議案 27年度会計報告および監査報告
- ハ) 第3号議案 28年度事業計画(案)
- ニ) 第4号議案 28年度予算(案)
- ホ) 第5号議案 役員選任について
- * 議長解任
- * 議長選任
閉会挨拶
講演会
共催:しまね難病相談支援センター
演題 「コミュニケーション支援技術とQOL ~あるSMA女性の例をあげて~ 」
講師 伊藤史人先生(島根大学総合理工学研究科 機械・電気電子工学領域 助教)
患者・家族・支援者交流会
1.制度についての説明および質疑応答 松江市障がい者福祉課
2.挨拶 松江保健所所長 平賀瑞雄様
3.フリートーク
4.記念撮影
<総会報告>
8組の患者家族(患者2名・家族6名・遺族2名・他の難病患者1名)を含む約90名が参加。二つの大学から30名以上の看護学生さんが出席した。諸岡運営委員の司会により、この一年間に亡くなられたALS患者さんを悼む黙祷から総会が始まった。
支部長挨拶は島根県立大学看護学部三年 副島彩希さんに代読いただき、会長挨拶は松浦運営委員が代読を行った。ご来賓を代表して 島根県健康福祉部健康推進課課長 村下伯様にご挨拶をいただいた。
当日の運営は、松江保健所をはじめ各保健所・島根県立大学看護学部・島根大学医学部看護学科・しまね難病相談支援センターの皆様にお手伝いいただいた。この場をお借りして厚く御礼申し上げる。
―支部長挨拶の要約―
日本ALS協会は今年、設立三十周年を迎えました。よく「協会に加入すると何がしてもらえますか?」と訊かれることがあります。『在宅での人工呼吸器の保険適用』『選挙における郵便投票』『介護職員による吸引を可能にする通達』などなど、現在、私たちが利用している制度のほとんどは先輩患者たちが国に働きかけて出来た制度です。これからも療養生活をより良くするために国や自治体に働きかけねばなりませんが、そのためにはより多くの会員数が必要です。「何かしてもらう」のではなく「療養生活をより良くするために、自らが声を上げていく」と考えていただけるとありがたいです。
治療法の研究も複数の研究機関で様々な研究が続けられていますが、iPS細胞の登場以来、研究のスピードが加速したような気がします。
治療のことを『手当て』と言います。どこか痛みを感じると無意識にそこに手が伸びてさすったり、揉んだり、叩いたりします。些細な痛みはそれで消えたりしますから、人の手とは本当に不思議です。しかし私たち患者は、痛くても患部に手をあてることが出来ません。介助者にどこがどう痛むのか伝えねばなりませんから、コミュニケーションは非常に重要になります。今日の講演会は、島根大学で教鞭をとる一方で、IT機器を用いて全国の重度障害者のコミュニケーション支援に飛び回っていらっしゃる伊藤史人先生をお招きしております。きっと有意義な時間になると思います。
―会長挨拶の要約―
5月28日の社員総会で会長に選任された岡部宏生と申します。
ALSという病気は本当に過酷で、それは患者本人は言うまでもありませんが、ご家族にとっても大変なことであり、まさにどちらも当事者と言えましょう。それだけに関係者の皆様方の支援が不可欠です。
患者や家族は孤立してしまう場合もあります。そこで、患者同士あるいは家族や関係者同士で情報や気持ちを共有することはとても大事なことと思います。どうかこの総会で情報を得ること、また患者さん同士で交流を深めて頂ければと願っています。
ALSを表す言葉に「No cause No cure No hope」というのがあります。「原因不明 治療なし 希望なし」という意味です。発病したころ(ちょうど10年前です)は、悔しいけど上手いことを言うなと思っていました。でもしばらくすると、「原因不明 治療なし」は事実ですが、「希望なし」というのは大きなお世話であって、ALSでも希望を持って生きている人もいるわけで、これは解釈の問題だと思うようになりました。
私達を取り巻く環境はなお厳しいものですが、明るい希望も持てるようになってきています。どうか皆様、希望を持って共に歩んで参りましょう。
―来賓挨拶の要約―
総会は午後からの開催ですが、患者の皆様は朝から準備をされて会場に来られたことと思います。ご苦労様です。
ALSをはじめとする難病患者さんへの取り組みの成果を三点、ご説明させていただきます。
始めに障害者総合支援法の改正です。本格的な実施は少し先になりますが重症重度の訪問介護における医療機関における支援の拡大。これは特にALSの患者さんの働きかけが実ったものです。また、障がいのサービスを受けられた方が65歳以上になった場合の介護保険のサービスへのつながり、あるいは自己負担額の軽減を図れるような制度が設けられるということです。私見ですが、最終的には障がい者の方も高齢者の方も、必要な時に・必要なサービスが・必要なだけ提供されるような仕組みができるように検討を進めていく必要があると思っています。
二つ目に、難病患者のコミュニケーション支援の取り組みは重要だと思っています。昨年12月に島根県支部の皆様のご尽力により、難病患者のコミュニケーション支援のシンポジウムが開催されました。県ではまだまだ不十分な面もありますが、新しい意思伝達装置も補助対象として導入されています。また、貸し出し用の最新機器を追加しました。
三つ目は、難病患者さんの一時的な入院については従来から制度を整えてきました。この間、医療機関にも働きかけ、数が増えてきたところです。ただ、まだ皆様のご要望に応えきれてないところもお伺いしていますので、今後とも充実を図っていきたいと考えています。
今日は私も最後まで参加させていただきますので、ご意見、ご要望をお聞かせください。
―来賓・顧問紹介―
来賓
島根県健康福祉部 健康推進課 課長 村下 伯 様
松江保健所所長 平賀 瑞雄 様
島根県議会議員 白石 恵子 様
島根県議会議員 角 智子 様
松江市議会議員 川島 光雅 様
松江市議会議員 新井 昌禎 様
しまね難病相談支援センター センター長 大場 篤 様
顧問
島根県看護協会訪問看護ステーションやすらぎ 所長 角 里美 様
島根県立大学看護学部 教授 加納 尚之 様
総会には所用のためご欠席となったが、県議会議員 大屋俊弘様よりメッセージを頂戴し、披露させていただいた。
澤副支部長を議長に選任しての議案審議では、いずれの議案も執行部提案が承認された。役員選任では今期は改選の年ではなかったが、これまで運営委員を務めていただいた土江正司さんの退任と、河瀬誠さんの就任が承認された。また、2月20日の運営委員会において支部総会開催日の固定化(基本的には7月の第一土曜日または日曜日)が決定したことが報告された。
<講演会の報告>
島根大学総合理工学研究科の伊藤史人先生を講師にお招きしての講演会。演題は「コミュニケーション支援技術とQOL ~あるSMA女性の例をあげて~」。
全国の重度障害者のコミュニケーション支援を行っています。本日はプロジェクターを使いますが、文字はほとんどありません。患者さんを紹介するときは、リアリティを求めてできるだけ顔出し・名前OKの方を紹介しています。
[スクリーンに北九州市在住のSMA(脊髄性筋萎縮症)の女性 早川幸希さんが映し出される]
今日は、この会場とさきさんの自宅をスカイプで結んでいます。さきさ~ん。聞こえてますか?
ここからは伊藤先生とさきさんの掛け合い
伊藤先生:パソコンを一日に何時間使ってる?
さきさん:一日中使ってます。MACです。
伊:最近はまっていることは?
さ:動画作り。
伊:今日のために8分余りの動画を作ってくれました。何度も作り直して、今朝、最新版が届きました。皆さんにはこれから見てもらいます。お母さんはパソコンは苦手でしたよね?
お母さん:そうです。
伊:パソコンのない生活はどう?
さ:一日ボーっと。中学生の時にパソコンを教えてもらいました。
伊:一番したいことは?
さ:旅行。去年は広島と鳥取に。
[ここでさきさんが作った動画が流れる。「島根の皆さん、こんにちは」から始まり、バックには音楽が流れる本格的なもの。わずかに動く右手人差し指でタッチセンサーに触れてパソコンを操るさきさんの姿]
たった1つのスイッチで操作できています。家族は特に詳しくなくていいのです。
☆支援技術の研究開発と教育活動
学生の教育もかねて行っています。
重度障害者のコミュニケーションは必要だと考えています。医療機関との連携も大切。
(研究室の学生が開発した)遊びながら視線入力を訓練するソフト『EyeMoT』。塗り絵や射的などのゲームで視線入力の訓練ができます。[教え子の学生さんが実演]ゲームはあなどれない。シリアスゲームで社会的な問題を解決しようという動き、日本にはまだあまりないが、海外では使われています。
以前は150万円もした視線入力装置ですが、今は二万円で買えます。視線入力はパソコンをしっかり固定することが大事です。
[スクリーンには小学二年生のSMA患者 るかさん。右横に161を示すバイタルモニターが映し出される]
ワンスイッチWiiコントローラで『桃太郎電鉄』をモニターしてもらいました。細かな操作方法を説明しなくても、実践で操作を覚えます。ところが10分でスリにお金を盗まれ、泣いてしまいました。ショックで部屋中にアラームが鳴り響きます。161は心拍数。健常者とともに複数人でできるからいい。ゲームの世界では障害は関係ないし、コミュニケーションも学べます。ゲーム後に彼女がレッツチャットに打った感想です。「かなしいけどたのしかったです」。人は心で生きています。
重度障害の子どもたちは、周りがあきらめたら終わりです。医療者からも厳しいことを言われます。家族や学校の先生があきらめず刺激を与えることが大切です。
[映像が切り替わる]
2歳児が視線入力で『EyeMoT』の塗り絵が簡単にできた。5日前に2歳になったばかりですよ。母親にとっては大きな喜びです。今後も長く活用できる可能性がある。
広島県支部の三保支部長さんは、最速の視線入力者です。1時間に1万文字入力できると豪語されています。
視線だけの入力で書籍を出した人もいます。
[画面に何かの回路の図面]
スイッチの設計図を自作している方もいる。ワンスイッチでできるように設計しています。ご本人はその道の専門家なのですが、この設計図を見せられて作らせられる支援者は大変ですよね(笑)。
[佐賀県支部長 中野玄三さんの映像]
ALS歴20年ながら、胃ろうを造設しないで独自の姿勢と刻み食で経口摂取を継続しています。全身のリハビリを実施しています。独自の舌を引っ張ってもらうリハビリも一日2回。笑顔を作るリハビリなど、その療養生活は工夫が満載です。その工夫を見ようとひっきりなしに視察が来ます。著書「ALSをしなやかに生きる」の通り、まさにしなやかに生きてらっしゃいます。
☆総括
コミュニケーション支援は支援者が鍵です。どのような機器を持参してくるかが課題となります。その人でないとできないコミュケーションが存在します。それを補完するのがICTです。
- ※ 伊藤先生の個人WEBサイト『ポランの広場┃福祉情報工学と市民活動』も覗いてみてはいかが。
<交流会の報告>
10分の休憩をはさみ、その間にお互いの顔が見えるよう座席を転換。
当初のプログラムにはなかったが、松江市障がい者福祉課から2名をお招きし、H30年4月1日に施行予定の制度について説明いただいた。
説明後は松江保健所長 平賀瑞雄様にご挨拶いただき、交流会がスタートした。時間がなかったため、患者・家族に先に発言してもらったが、そこで時間切れとなってしまった。
―説明の要約―
- 自立支援法のときからの支援を引き継いで、H25年4月から障害者総合支援法となっている。重要であったのが、H24年の地域社会における共生の実現に向けた新たな障害保健福祉施策を施行するための関連法規を整備するための法律というのができている。まだ課題はたくさんあるので、抜本的に見直すときは見直していきましょうとなっている。
- その中の1つに重度訪問介護の訪問先の拡大というものがある。ALSの場合、医療と連携している療養介護、在宅での介護保険と重度訪問介護の2つが大きなサービスになると考えられる。ここに改正が行われる。例を挙げれば、ヘルパーの同行で医療機関を受診した場合、診察中のヘルパーは認められていなかった。ヘルパーはその場にいてもボランティアであり介護報酬には結びつかなかった。これがH30年4月から、診察中も認められる方向性が出ている。
- 厚労省から具体的なプランニングが出てきたら、改めて説明させていただきたい。
―質疑応答―
家族1】H30年4月1日ということだが、自治体には先行実施をお願いしたい。東京の患者は重度訪問介護を潤沢に使える。待てばいいのかもしれないが、ALSは進行性の病気。必要なとき、必要なサービスを受けられる社会になってほしい。
療養病棟にいると1対1の介護が受けられない。ちょっと病院を出るにも支援を受けられない。かなり制約がある。在宅で使えるサービスと病院で使えるサービスにギャップがある。
支援ボランティア】呼吸器をつけているが、伝の心や口パクで意思伝達を行っている。ALSのことをもっと多くの方に知ってもらいたい。総会のようなことでもないと外に出られない。安心安全な環境を望んでいる。もっと患者や家族のことを知ってもらいたい。
家族2】入院しているが、花見など年に3回くらい外出をする。車に費用がかかる。そのようなときに使える制度がない。外出で色々なものに触れることで、病院の中にいるより元気が出ているように見える。
行政】具体的なことは明言できないが、支援策を考えていきたい。
―挨拶の要約―
皆さんとお目にかかれる交流会を楽しみにしていますが、去年の総会以来お会いすることがありませんでした。伊藤先生のお話を聞き、患者さん自身が、自分でできることを発信しており、夢のあることだと感じました。今日もまた、情報交換をしながら、明るい明日が歩みだせるような交流会になればと思っています。
出席できなかった患者さんが、始めたばかりの慣れない伝の心のデモ機で手紙を書いて下さった。交流会でも紹介したが、ご本人の了解を得たので原文のままを掲載する。
えいえるえすそうかいしゅっせきのみなさまへ
わたくしは、えいえるえす、かんじゃ、ながおかたかひこ、55さい、いずもしざいじゅうです。さくねんの、いずもしのそうかいには、しゅっせきできましたが、ことしの、まつえしでの、そうかいには、たいちょうが、すぐれないため、ざんねんながら、しゅっせきできません。さくねんの、しゅっせきのさいに、おせわになった、かたがたには、あいさつをしなければ、とおもい、この、ぶんめんをたくします。
―発言集―
患者1】(伝の心で発声)テレビである医師がこんなことを言っていた。「何で自分だけがこんな病気にならねばならないのか」と怒りを抱いている患者は総じて経過が悪い。かと思えば同じ病棟でも非常に明るい病室がある。そんな患者は進行が穏やかだ。
これはガン病棟の話題の中で出てきた話なのだが、ALSなどの神経難病にも同じようなことが言えるのではないかと思う。
ALSは先が見通せない過酷な病気だ。100人患者がいれば進行のスピードは100通りといっても過言ではなく、それぞれに見合ったケアが必要なので、看護・介護・支援も100通りの工夫がいる。
私は発症から16年が過ぎたが、幸いにも伝の心を使いコミュニケーションも取れるし表情筋も健在だ。その点では本当のALSの過酷さをわかっていないのかもしれない。
以前、本日の講師の伊藤先生から「意思伝達装置を上手に使いこなしている人はALSの進行が遅くなる」言葉をかえれば、「コミュニケーションを保っている人はALSの進行が遅くなる」と聞いた。島根県支部の活動としてもコミュニケーション支援を柱の一つとしたい。
家族3】コミュニケーションが取れることが一番安心できる。コミュニケーションを取ろうとしてくれる人のいる病院では安心して預けられる。今日もレスパイト先からやって来た。
基本は在宅という形であるが、在宅であろうが入院であろうが、皆さんがそれぞれ同じような支援を受けられる制度が一番。
患者2】ALS患者らしくない患者を目指している。視線入力装置を使いこなせるようになりたい。レスパイト入院の話があったが制度上、支援を受けられないため行動が制限されるところがネック。
一畑電車はスロープがついていて、移動がしやすくなっている。車いすでも気軽に通勤・通学できるが、JRはバリアフリー化されておらず、駅に近いところでも行動が制限されてしまう。JRにもバリアフリー化してほしい。
講演会講師】役所の力は大きい。いくら現場で頑張っていても、役所のような力はない。役所が動けば、何百人の人を幸せに導ける。うらやましい限り。去年5月、岡部会長と話したが生活を支えているのは、重度訪問介護や若い人・学生であることを知った。ALS患者がどこへでも行けるかどうかは、重度訪問介護による。東京では、看護学生がやっているところもある。松江でもできなくはない。やってほしい。重度の、呼吸器を着けた人たちが国外に行けることは海外ではあまりない。松江でできたら世界に誇れることである。
遺族1】家内は急速に病気が進展した。治療法もなく、県東部の病院をまわったが、どこも3ヶ月で出なければならない。
とにかく進行が早かった。初めに水道の蛇口がひねられなくなり、3日ほどで箸が持てず、また3日ほどでスプーンも口に運べず、ご飯が自分で食べられなくなった。足は良かったので歩くことは支えればできていた。
患者、家族には一日でも一時間でもいいから、長く頑張ってほしい。
家族1】健康な人が、ALSになって不幸にならない社会をつくりたい。
目を閉じたままか開けっ放しの状態だが、生きるということがどういうことか伝えたいと言っていた。療養病棟に入院している生活はしたくない。家族と暮らせる生活をしたい。自分が死んでは家族を支えることはできないという思いで呼吸器を着けている。
この度、在宅移行することに決まり、病院が主だが家に帰れることになった。
家族4】支える家族は本当に大変。ストレスがたまるとパニックになる。いろいろな人に話を聞いてもらいたい。通り一遍の話ではなく、ちょっとお話することに真摯に相手をしてくれると救われる。
他の難病患者】どんな国でも、呼吸器を着けて生活するということが普通になってきている。だが、海外旅行も国内旅行も呼吸器を着けてしていることは、他国から驚かれるとは聞いている。
ちょっと病院から離れることが、病院のシステムなどでできない人もいる。病院からなかなか出られない、どうやってやりたいことをしよう、と悪戦苦闘している島根の状況と比べ、東京の岡部さんが「1時間あれば来ますから、いつでも呼んでください」と言うのを聞き、「こうだよな」と思った。こんなところで地域格差を感じた。
家族5】診断されたのが、去年1月。半年前の6月に症状があったが、別の病気と診断され手術をしたが、ちがった。それまでは整形外科で診てもらっていたが、医大の神経内科ですぐに診断された。どうやって看ていくか考えた。
制度を使いヘルパーに入ってもらっているが、特に夜、30分おきに寝返りの必要があり、ものすごくきつい。現在、マスク型呼吸器を着けていて、痰吸引が必要。夜中の30分ごとの吸引が今の状況ではきつい。
レスパイトは呼吸器の問題やベッドに空きがなく入れない。待っている暇はない。制度をなんとかしてほしい。医療機関に入れるとなると人工呼吸器の問題、他の施設はいつ空きができるかわからない、在宅で看ていくのは、いつまで続けられるかわからない。早く動いていただきたい。
遺族2】今日の参加者を見ると会員や患者家族が少なく、関係者のおかげで会ができている。これが今後の課題で、一人でも多くの患者、家族が参加できる仕組みを作りたい。
健康な人に健康のありがたみを理解してもらい、自分の健康があるのと裏返しにこのような病気あることを知ってもらいたい。県には、健全な学生への学習の機会を教育委員会に働きかけてもらいたい。
終了後、最後まで残っていただいた参加者で集合写真を撮影した。来年は出雲市での開催を予定しており、再開を約束して散会した。
閉会後、数人の看護学生さんとお話をする時間が持てた。すでに病院や保健所などで実習を行っている四年生からは、「コミュニケーション支援の重要性」「ALS患者さんに限らず介護支援の充実が大切」「生きることについて考えさせられた」と具体的な感想が聞かれた。初参加の一年生は涙がこぼれ一言も話せない方もいた。いずれは看護師・助産師・保健師として医療の現場に携わる皆さん。当日、感じたことをそれぞれの道に活かしてほしい。
記録:島根県立大学看護学部三年 藤綱美玲さん
写真撮影:長岡望
文章構成責任:景山敬二