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ALS患者の療養環境改善を島根県に要望(2010年9月13日)

10月 3rd, 2010 | Posted by admin in 2010年 | 支部の活動報告

日本ALS協会島根県支部では、患者の立場から重い難病である筋萎縮性側索硬化症 (=ALS)の療養環境を改善しようと、島根県健康福祉部の錦織厚雄部長に対し去る9月13日に6項目の要望をいたしました。要望は医療、行政、看護、介 護、教育分野の担当者を交え、6月に開いた意見交換会で出た議論と、5月に県内の全患者に対し実施したアンケート調査の結果を踏まえたものです。

要望内容は下記をご覧下さい。


島根県健康福祉部
部長 錦織厚雄様

要 望 書

平素より私達 筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の療養生活に御支援を頂き誠にありがとうございます。
また、6月13日はお忙しい中、日本ALS協会島根県支部総会ならびに意見交換会に御出席頂きありがとうございました。
私達ALS患者と家族が置かれた状況の過酷さは御存知の通りです。近年、神奈川県相模原市と福島県古殿 町において我々を震撼させる事件が起こりました。いずれも在宅の患者を家族のみで介護していたそうですが、介護による疲れから肉体的・精神的に追い込ま れ、一方は母が息子の人工呼吸器を外し、一方は妻が夫を刺殺し心中を図ったというものです。両者とも他人が家庭に入ることを拒み、情報の孤立が見受けられ ます。この話を聞いた時「自分も頭をよぎったことが有る。」と感じた家族は全国に少なくありません。支部としても危機感を感じています。
このような悲惨な事件を島根から起こさせないために支部として情報発信していきたいのですが、一番情報を必要としているのは非会員であり、支部には提供のしようがありません。是非、県のお力添えをお願い致します。
意見交換会での議論とアンケート調査の結果から、ALS患者の療養向上のため、今回別紙の通り要望させていただきます。
要望に対しましては、文書にて回答を頂きたく存じます。何卒よろしくお願い申し上げます。

平成22年9月13日 
日本ALS協会島根支部長 景山敬二

 


要望書 内容 (2010年9月13日)

(別紙)

要望1 医療と行政の連携強化
告知時の説明内容は厳しい事柄が多く、患者が不安を解消できたり希望を持てる説明が必須である。ALSが進行性の病であることに鑑み、円滑で速やかな療養生活への移行が必要。
①告知のカンファレンスの時に難病医療専門員、保健師、ソーシャルワーカー等を同席させる。同席は患者側の希望に沿って、告知時あるいは告知後を選択できるようにする。
②患者個々に担当保健師を決め、スムーズな行政手続きで種々のサービスが受けられるよう、療養に向けた進捗管理も実施し、担当保健師が異動する際には円滑な引継ぎに努める。
③難病担当保健師の増員

要望2 意思伝達方法の普及
コミュニケーションが困難を伴うALS患者を支援するため、患者個々にあったコミュニケーション支援策を策定すると共に、特に入院患者に対しては看護師や医師とのコミュニケーションを円滑に進める必要がある。
①コミュニケーションボランティアを病院へ派遣する。
②ボランティアの養成
・保健所で検討中の計画を加速
・地域貢献に取り組む地元大学(島根大学・県立大学)との連携
③コミュニケーション支援機関づくり
自治体、医療・福祉、日本ALS協会島根県支部、障害者のIT支援に携わるNPO(松江市・プロジェクトゆうあい など)、IT企業、学識経験者(脳波スイッチ開発者 など)、作業療法士らが連携し、患者個々の例にあった対応を検討し実現を図る。

要望3 情報提供の仕組み作り
患者アンケートによると、治療法、QOLなど希望をもたらす情報が不足しているとの結果が出た。原因不明、治療法なしとされるALSでも、最近は原因や治療法、QOL向上の研究が進んでいるが、患者や家族に十分情報が伝わっておらず、患者間に情報格差が存在する。
①医師、ケアマネ、保健師、訪問看護師、ALS協会等で連絡会議を設けて情報共有し、患者や家族に速やかに情報提供する。

要望4 社会による介護の充実
患者アンケートによると、家族中心(特に配偶者)の介護、老老介護への不安などが多く指摘された。ヘルパー不足、とりわけ夜間、深夜のヘルパーのマンパワー不足と、痰の吸引ができるヘルパーの養成が急務である。これらの状況を鑑み、県としてできることとして下記の点を要望する。
①保健師、ケアマネ等のコーディネート力量向上
②保健所による吸引講習会の充実
③ヘルパーの吸引手技の評価と再講習

要望5 看護・介護スタッフが足りない病院への職員過配支援
コミュニケーションが困難で、人工呼吸器を装着する寝たきりの患者が多いALS患者にとって、難病病棟においてさえも夜間の看護職員が患者15人に対し1人という現実は厳しく危険を伴う。
① 看護、介護職員の過配に伴う病院への財政支援(病院側から希望があれば)

要望6 寝たきり回避でQOL(生活の質の維持や向上)確保と余病防止
難病病棟に入院するALS患者は人工呼吸器を伴ったり、看護・介護職員の不足や、病院側の方針でQOL向上に有効な外出や散歩ができる例が少なく、患者の多くは沈下性肺炎などを繰り返しQOLの低下を招いている。こうしたことを避け、患者のQOL向上と生き甲斐や楽しみを確保する。
① 看護師の派遣
② 看護師過配のための財政支援


島根県からは10月中旬頃に回答が寄せられる予定です。

要望書を手渡す日本ALS協会島根県支部景山敬二支部長の夫人、玲子さん
島根県庁福祉保健部長室にて 日本海新聞 2010年9月14日掲載

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