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6月・11月に提出した要望への県の回答

3月 28th, 2022 | Posted by admin in 情報コーナー

 令和3年6月17日と、会報記事のための患者・家族会員への聞き取り調査を基にした11月4日に提出した要望への回答が、3月23日に県健康福祉部健康推進課より送られてきました。
 ワクチン接種、感染の拡大状況など提出時と現在の状況に相違はありますが、公表の許可を得ましたので今一度要望を再掲し、回答を掲載します。面会規制については回答の中にもありますように国の方針であり、面会基準の設定や直接的に対応指示する様な内容は難しいため、医療機関に患者さんの状況に理解と配慮をいただきたいとする旨の文書発出を約束いただきました。

<6月17日提出の陳情書>

陳情書

令和3年6月17日

島根県知事 丸山達也様
島根県健康福祉部部長 小村浩二様

難病患者・家族への新型コロナワクチン接種等についての陳情

請願者:一般社団法人 日本ALS協会 島根県支部
住所:島根県松江市米子町8-17 景山方
氏名:支部長 景山敬二

難病患者・家族への
新型コロナワクチン接種等についての陳情

  1. 陳情の要旨
     2020年春から2021年現在まで、新型コロナウイルスの感染拡大にともない、重症化リスクの高い県内の難病療養者は、自身の行動について自粛を行うのみならず、家族・知人と面会できる機会が著しく制限されている状況が続いています。
     ついては、自宅療養中の難病療養者、病院・施設に入院入所している難病療養者、およびその家族について、新型コロナワクチン接種が優先的になされるよう手配を要望します。65歳以上の県民にはすでにワクチン接種券が届いていますが、64歳未満の療養者と家族についても早期の接種を受けられるようお願いします。
     また、病院・施設等の関係施設について、2度のワクチン接種が完了した等の条件を満たすことで、難病療養者に家族が面会できる回数や時間を増やすよう、指針を設けることを要望します。
  2. 陳情の理由
     新型コロナウイルスの感染拡大は、県民の生活全体に多大な影響を与えているところですが、重症化リスクの高い難病療養者(難病患者)は特に大きな困難に直面しています。なかでもALS(筋萎縮性側索硬化症)の場合、呼吸筋が冒されることから、新型コロナへの感染は死に直結しうるものです。そのことから、以下のような厳しい生活が続いています。
     自宅療養中の難病療養者の場合、それぞれの症状に応じて、医師・看護師・ヘルパー・入浴介助業者等のケアサービスを受ける必要があり、それがしばしば身体的接触を伴うことから、つねに感染のリスクにさらされている状況が続いています。このことは、細心の注意を払わねばならないケア提供者の側にとっても大きな負担です。療養者のケアを行うことも多い同居家族や、遠方に住んでいる家族についても、ウイルスを持ちこまないよう生活全体において日々神経をすり減らしたり、帰省を断念したりせざるをえない状況です。
     また、病院・施設入院入所の難病療養者の場合、家族との面会が原則禁止されており、社会的に隔離されている状況が続いています。ALSは、痛みや痒みといった感覚や知覚は健在のまま、全身の運動機能が失われる神経難病です。痛いとき、痒いときには他人の力が必要となりますが、重症患者はナースコールを押すことができず、コミュニケーションにも独特な方法が必要で時間もかかります。そのため、週に何回かでも家族が訪問することは、療養者の生活にきわめて重要です。しかしながら、パンデミックのこの状況下にあって感染予防の見地からはやむを得ない措置とはいえ、家族ともほとんど隔絶された状況が一年以上続いており、基本的人権(人間らしい生活)の保障も危ぶまれる事態です。
     以上のような事情から、難病療養者および家族への優先的なワクチン接種と、それにともなう家族との面会機会のいちはやい拡大・回復を要望し、陳情をいたします。

<県の回答>

クリックするとPDFが表示されます。

<11月4日提出の要望>

新型コロナ流行下で
ALS患者・家族が経験している苦境とその改善の要望

日本ALS協会島根県支部
支部長 景山敬二
書記 諸岡了介

 2020年春以来、新型コロナの感染が拡がり、日本社会でもさまざまな行動制限が敷かれるとともに、それぞれの場所で困難に直面している。たとえば、経済と結びついた飲食店や観光産業のことはよくマスコミ等でも語られるが、ALS患者のような難病患者が置かれている状況についてはあまり注目されておらず、取り残されている面がある。
 以下は、日本ALS協会島根県支部の役員のひとり(諸岡)が、松江市・出雲市のALS患者とその家族から、聞き取りやEメールを通じて提供してもらった情報をとりまとめて作成したレポートと要望である。

■極端な面会制限という問題

(1)病院で療養している患者の場合

 ALS患者と家族のあいだでもっとも苦痛に感じられていることは、面会機会の極端な制限である。とくに、入院生活を送っているALS患者は、2020年春以降、隔絶された状況に置かれている。面会制限の程度は、下記のように、病院・施設によって異なっている。

【3つの病院を転院しながら療養している患者ご本人からの報告】

 新型コロナの流行がはじまった2020年3月に入ると、すべての病院が「面会禁止」になった。緊急事態宣言が解除された6月下旬になると、「週1回、家族1人のみ、事前予約した平日の昼間10分間」限定で面会が認められるようになった。ただし、病院によって対応はまちまちで、「週1回、家族2人が限度で、30分以内」のところもあれば、「面会は一切認めない」というところもあった。

 7月31日になると、再び「面会禁止」となった。9月下旬には再度規制が緩和され、「事前予約で、週一回10分」の面会可能に。

 12月初旬には感染が再拡大したことを受けて、みたび「面会禁止」となった。これ以降、2020年12月から2021年10月現在まで、10ヶ月以上のあいだ「面会禁止」のままで続いている。

【妻が入院している夫の方のお話】

 新型コロナ流行以降、「1ヶ月に1回」だけ面会が許されるような状況になった。当初は30分間の面会が可能であったが、ほどなく15分に短縮され、まったく「面会禁止」になった時期を経た後、2021年春から2021年10月現在までは、「1ヶ月に1回、5分間」のみ面接が可能となっている。5分間では妻と十分に話ができないため、手紙を書いて、看護師さんに代読をしてもらっている。

 面会には病院側の都合との調整・予約が必要なので、自分自身の病気療養のための通院とバッティングした場合は、まったく面会ができない月もある。

【夫が入院している妻の方のお話】

2020年11月頃は「週に1回、10分間」の面会が許されていた。しかし、2020年12月以降、面会は全面的に禁止となった。

患者が一時期危篤状態になったときには、特別な事情とのことで、「毎日10分間」の面会が可能になった。その後、幸い危篤状態を脱したが、先が分からないとのことで「週1回、10分間」の面会が許される状況となっている。

 病院によっては、面会が大きく制限されているかわりに、病院のスタッフがタブレットなどを用いて、リモートでの家族との面会機会を設けているところもある。ただし、それも制限があり、ある患者の例では、「平日日中限定、一親等以内の家族が30分間、3日以上間をあけて」という条件の下で利用できるとのことである。それでも「ないよりはあった方が全然良い」とそのご家族は話しており、画面ごしに患者さんの反応も分かるという。

(2)自宅メインで療養されている患者の場合

 自宅で療養をされている患者の場合も、レスパイト入院や検査入院をする際に、同様の面会規制を受けている。

ある患者さんの場合は、2020年春のレスパイト入院のときには「面会禁止」であったが、2020年11月と2021年春のレスパイト入院の際は、「毎日15分以内」の面会が可能となり、十分な時間が確保されているとの感想であった。

しかし、別の病院を利用されている患者さんの場合は、6日間のレスパイト入院の間、一切「面会禁止」となるため、本人も家族も不安が大きいということで、コロナ流行後は、ふだんは年に二回のレスパイト入院を行っていない。その分、介護をしているご家族は休憩や外出を行っておらず、胃ろうの交換は日帰りの外来で行っている。

 また別の患者さんの場合は、短時間の面会は毎日可能であるが、レスパイト入院の期間が減らされているとのことであった。大荷物で移動をし、苦労をしてレスパイト入院をしても、数日で帰宅しなければならないので、ご自分も持病があるというご家族の身体的負担が大きくなっている。

(3)面会制限に対する改善の要望

 現在、日本ひいては世界の人々全体が新型コロナの流行に対してがまんを強いられており、経済的な困難に直面したり、感染対策に過度な業務を追われたりなど、苦境に陥っているのはALS患者にはかぎらない。しかしそれでも、たとえば今回取材をしたある患者さんのように、この1年半のあいだ、1ヶ月に1回5分間しか家族に会うことができないといった極端な制限を受けている人のことは、ほかに聞いたことがない。実際にコロナに感染した人でも何ヶ月も隔離されているわけではないし、日々感染に非常な注意を払っている医療従事者でも、これほど家族と隔離された生活をしてはいないはずである。
 とくに四肢麻痺の進んだALS患者は特別な状況下にあり、ベッドからの移動もできず、身の回りのほとんどすべてについて、人の手を借りる必要がある。家族と面会ができないということは、姿勢の調整、ちょっとした顔や体の清拭、室温調整、テレビなどのオン・オフなどなど、ふだんは家族が担っていた分について、細々とした身の回りのことができなくなるということである。また、ALS特有の問題として、透明文字盤や口文字といった患者それぞれに見合う方法でコミュニケーションを取らねばならず、それに慣れた家族の面会や、ヘルパーの付き添いが禁止された状況では、意思表示ができなくなる患者もいる。
 さらに、面会ができないということは、身体の自由がきかない生活にあって、「家族と会う」というもっとも大きな生きがいが与えられないということである。このことは同時に、患者の家族の側にとっても、たいへんな不安や苦痛である。それは、病気のために手足が自由にならないまま過ごしている家族のひとりに近づくことができず、数日に一度しか、その様子を確かめられないという状況を想像してもらえれば分かるはずである。ある患者さんの話では、「これまでもインフルエンザの流行で面会禁止になったことはありました。でもそれは冬季だけのせいぜい1~2ヶ月程度で、ここまで長期かつ先の見えないものは初めてです」とのことである。
 新型コロナ流行という緊急事態のもと、もっとも献身的な対応を続けているのは、病院や施設、保健所をはじめとする、ケアを提供してくれている関係者であることはまちがいなく、どの患者・家族も、医療・介護関係者のコロナ感染防止の努力には、感謝と理解をしていると語っている。しかし、それはそうだとしても、とくに入院患者とその家族のあいだでは、家族に会えない苦しみやストレスがきわめて大きいことも事実である。「家族に会う」ということは、人間が生きていく上でもっとも重要で基本的なことのひとつであり、基本的人権の一部でもある。万全な新型コロナ感染対策を行うことが前提であるのはもちろんだが、関係者のみなさんには、下記のような取り組みなどを通じて、面会機会の拡大をぜひお願いしたい。

  • 今回聞き取りをした範囲の病院では、どの患者・家族にも一律に面会制限が敷かれている。たとえば、全国の大学などで実施しているように、「2週間以内に他県への移動をした家族がいない」等の合理的な条件のもとに、面会の機会や時間を拡大することを検討してもらいたい。
  • 夏以降、ワクチン接種が広まったが、今のところ、それによる面会制限の見直しはなされていない。ワクチン接種をした家族について、面会の機会や時間を拡大することを検討してもらいたい。
  • 現在は、情報が乏しいまま、各病院・各施設に面会制限の判断を委ねており、その内容は、病院や施設ごとにまちまちとなっている。行政やマスコミに対する要望として、より適切で合理的な面会機会の設定ができるように、他の都道府県の事例も含めて、全国の病院・施設における面会機会設定の現状について調べ、各病院・施設にも情報提供してもらいたい。
  • 病院にて面会機会が増やせない理由のひとつに、面会希望者に対する検温や受付といった、医療処置以外の病院業務が増加してしまうことがある。この点については、喫緊の必要がある新型コロナ対策費として、そうした業務に当たるスタッフ雇用等のための予算を、病院や施設に配分してもらいたい。その予算は、リモート面会を実施し運用するスタッフ雇用にも充てられるようにしてもらいたい。

■面会制限以外の問題と要望

 新型コロナ流行に関し、ALS患者とその家族が直面しており、改善と対策を求めたい問題には、面会制限のほかにも以下のようなものがある。

(1)在宅介護の一般的なリソース減少

 上記のように、病院では厳しい面会制限が敷かれているため、難病患者に限らず、治療が必要な病気を持つ多くの人たちが、病院への入院よりも、在宅療養を選ぶ傾向が強まっている。そのため、在宅医療や在宅介護サービスの不足が、ALS患者・家族にまで影響してきているとの話があった。ALSは進行性の疾患であり、病状の進行にあわせてヘルパー訪問などの頻度を増やしていかねばならないため、とくに人手不足・ケアサービス不足への不安が強い。

(2)痰吸引のできる訪問介護職養成の停止

 人工呼吸器を着けたALS患者の介護をするには、訪問介護職(ヘルパーの方)には喀痰吸引等研修を受け、資格を取得してもらう必要がある。ふだんより、この研修を受け資格を取得した訪問介護職数が不足していることは大きな問題となってきているが、昨年は新型コロナの影響で研修会が開かれず、資格を持つ人の数が増えない状況が続いている。このことはとくに、在宅療養を希望するALS患者にとって死活問題である。代替のしかたで研修会を開催するなど、早急に対策をお願いしたい。

(3)ワクチン接種の問題

 新型コロナワクチンについて、今回取材した範囲では、ALS患者本人は基礎疾患を有する人の枠で順調に接種を受けることができている。家族の側では、高齢者の枠や職域接種の枠でワクチン接種を済ませた人が多かったが、なかには一般応募の枠で順番が回ってこないまま、ALS患者と同居しているにもかかわらず、2021年10月現在になってもまだ接種ができていない方もいた。これから実施が予想される三度目の接種についても、ALS患者と同居している人については、優先的に接種できるように手配をしてもらいたい。もし同居家族が新型コロナに感染すれば、ALS患者本人が生命の危険にさらされることはもちろんのこと、介護する人がいなくなってしまう。

■ALS患者にとっての「時間」

 今回の取材のなかでは、ほかにも、容易に外出ができなくなったこと、それから遠方からの友人が自分を訪問できなくなったことについても話があった。こうした制限は、ALS患者に限られたことではないが、ALS患者には特別な事情と意味もある。
 ある患者さんは、「身体が動かなくなる前にあちこち行ってみよう」と思っていたらコロナ感染が拡がり行けなくなりました。想い出づくりもできずに時が過ぎているのが残念です」と述べている。また、年に一度、遠方の友人が訪ねてきてくれることを一番の楽しみにしておられる患者さんは、それが叶わなくなったことを非常に残念に思われていた。さらにまた、県外に住むお子さんと、もう一年半以上会うことができていない患者さんもいる。
 現在は「収束するまでしばらくの我慢」というので国民全体が耐えている時期であるが、症状の進行が進むALS患者にとっては、「時間が過ぎる」ことの意味は特別に大きい。新型コロナはたしかに深刻な感染症であるが、ALSもやはりまた深刻な疾患であって、同様の配慮が必要である。県外移動の自粛といった行動制限にはやむをえない面があるのはたしかだが、ALS患者のような難病患者とその家族が現在置かれている境遇と心情について、それ以外の人々にもまずは「理解」をしてもらいたい。

<県の回答>

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