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 令和2年度 難病等対策協議会へ提出した委員意見への回答が、3月31日に県健康福祉部健康推進課より送られてきました。
 昨年、協議会の報告は掲載していますが、資料は公表が許可されていますので今一度意見を再掲し、回答を掲載します。

<提出の委員意見>

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 令和3年6月17日と、会報記事のための患者・家族会員への聞き取り調査を基にした11月4日に提出した要望への回答が、3月23日に県健康福祉部健康推進課より送られてきました。
 ワクチン接種、感染の拡大状況など提出時と現在の状況に相違はありますが、公表の許可を得ましたので今一度要望を再掲し、回答を掲載します。面会規制については回答の中にもありますように国の方針であり、面会基準の設定や直接的に対応指示する様な内容は難しいため、医療機関に患者さんの状況に理解と配慮をいただきたいとする旨の文書発出を約束いただきました。

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「コロナ禍での生活」

諸岡了介

 2020年春に新型コロナの感染が広がって以来、さまざまな制限が敷かれる非日常的な日常が、もうすぐ丸2年にも及ぼうとしている(2021年12月現在)。新型コロナの影響は一様ではなく、たとえば、飲食業とIT産業でも異なっているし、地方と都会でもまた違っている。そんな中、島根のALSの患者さんとご家族はどのように過ごしておられるだろうか。この2年は、支部総会も書面でのやりとりとなって交流の場がないこともあり、この機会に会員のみなさんに様子をうかがってみた。取材は2021年10月に実施したので、そのときの状況の記録として読んでいただけたらと思います。(取材・執筆 諸岡了介)

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JALSAしまね25号が出来上がりました。
PDF版を下記からご覧いただけます。

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 先日、支部事務局に文字盤についてお電話いただいた方がいらっしゃいます。お電話番号を伺っておらず、返事を差し上げられません。このホームページを見てお電話をいただいたと想定し、この場にてお返事させていただきます。見て下さるとよいのですが...

 『コミュニケーション支援』のコーナーにも書いておりますが、文字盤等に関しては日本ALS協会 新潟県支部のホームページに詳細に掲載されています。ぜひ 日本ALS協会新潟県支部 (jalsa-niigata.com) にご訪問ください。

 事務局は平日の日中は勤務のため、留守番電話になっております。お急ぎの場合は、夜間か休日にお電話ください。また、FAX・メールもご利用ください。



10月1日、朝日新聞が「筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者を対象としたボスチニブ第1相試験でよい結果が得られた」と報じました。その関連資料が協会本部から送られてきましたのでご紹介します。

<筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者さんを対象とした

 ボスチニブ第1相試験のご報告 ~ALS進行停止を目指すiDReAM Study~>

2021年10月1日

1. 概要

 京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の井上治久教授、徳島大学病院脳神経内科 和泉唯信教授、京都大学医学部附属病院脳神経内科 髙橋良輔教授、北里大学病院脳神経内科 永井真貴子診療准教授、鳥取大学医学部附属病院脳神経内科 渡辺保裕准教授らの研究チームは、「筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者さんを対象としたボスチニブ第1相試験1」(iDReAM試験:iPSC-based Drug Repurposing for ALS Medicine study)を行い、ボスチニブの安全性と忍容性2を評価し、探索的に有効性評価を行いました。

 同チームはALS患者さんのiPS細胞を用いて、2012年にALSの病態再現、2017年に薬剤スクリーニングのためのiMNシステム3を開発し、慢性骨髄性白血病の治療薬であるボスチニブが強い抗ALS病態作用を有することを見出しました。

 2019年より開始した本臨床試験に参加された患者さんの人数に限りがあるものの、ボスチニブにALS特有の有害事象4は認めなかったこと、ボスチニブの投与期間に一部の患者さんでALSの進行の停止が見られたこと、その目印となる可能性のある指標があったことを、見出しました。

 今後、iPS創薬5から展開した本臨床試験の結果に基づいて、多くのALS患者さんを対象としてボスチニブの有効性を調べるために、十分な安全性を考慮した上で、次相以降の試験を計画しています。

2. 研究の背景

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、運動神経細胞が変性して筋萎縮と筋力低下を来す進行性の疾患で、経過に個人差はあるものの、人工呼吸器を使用されなければ、発症から数年で落命される疾患です。ALSの進行を緩和する既存薬はありますが、いまだALS の進行を停止する根本的治療は確立されていません。

 これまで、研究チームは、ALS患者さん由来のiPS細胞から作製した運動神経細胞を用いて、ALSの病態を再現できることを見出し(参照:CiRAプレスリリース 2012年8月1日)、さらに、ALSの病態の中核である運動神経細胞の細胞死と異常タンパク質の蓄積を抑えることができる化合物のスクリーニングを行うiMNシステムを構築しました(参照:CiRAプレスリリース 2017年5月25日)。このシステムを用いて、既に他の疾患で治療薬として用いられている物質を含むさまざまな種類の化合物をスクリーニングした結果、強い抗ALS病態効果を有するボスチニブを同定し報告しました。ボスチニブ(販売名:ボシュリフ®錠)は、慢性骨髄性白血病の治療薬として用いられている既存薬です。

 慢性骨髄性白血病においてボスチニブは1日量として、前治療歴に応じて通常500mgまたは400mgが投与されます。また、患者さんの状態により適宜増減され、最大1日量として600mgまで投与可能です。一方、ボスチニブはALSを適応症として日本および世界各国で承認されておらず、ALSに対する有効性、安全性ならびに適切な用量は確立していません。そのため、ボスチニブは現時点でALSの治療薬として使用できる状況にありません。

 研究チームは、2019年から、「筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者さんを対象としたボスチニブ第1相試験」(iDReAM試験)を行い(参照:CiRAプレスリリース 2019年4月23日)、ALS患者さんにおけるボスチニブの安全性と忍容性を評価し、探索的に有効性を評価しました。

3. 研究結果

 本試験においては、12名の患者さんについてALS特有の有害事象が生じる可能性がないか調べるために、はじめに3名のALS患者さんに1日量100mg投与し、その結果を安全性評価委員会6で評価を行った後、次に、別のALS患者さん3名に1日量200mg、同様に次に別のALS患者さん3名に1日量300mg、次に別のALS患者さん3名に1日量400mgを投与する試験を実施しました。

 結果として、ボスチニブ1日量100mg~300mgを投与されたALS患者さん9名が12週間の試験を完了しました。1日量400mgを投与されたALS患者さん3名が有害事象により試験を完了しませんでした。全体を通じての有害事象としては、下痢、肝機能障害などが見られました。治験実施計画書に規定した基準に基づき、適切なボスチニブの投与調整や支持療法による管理が必要な場合がありました。

 ALS患者さんにおけるボスチニブの有効性を探索するために、ALSの症状の進行を示す指標であるALSFRS-R7の変化を調べました。ALSの症状が進行するとALSFRS-Rのスコアが低下します。ボスチニブを12 週間内服された9名の方のうち5名の方では、ボスチニブ内服後、ALSFRS-Rスコアの低下が停止していることが明らかになりました。ALSFRS-Rの低下が見られた4名の方と、ALSFRS-Rの低下の停止がみられた5名の方の血液を調べたところ、ボスチニブ投与前のニューロフィラメントL8という物質の量が異なっていることがわかりました。

4. まとめ

 以上の結果から、ALS患者さんで認められた有害事象の種類は慢性骨髄性白血病と同様であり(ボシュリフ錠 100 mg添付文書、2020年6月改訂)、ボスチニブの100mg~300mgの用量レベルでの忍容性は良好であることがわかりました。また治験実施計画書に規定した基準に基づき、適切なボスチニブの投与調整や支持療法による管理が必要な場合がありました。

 探索的有効性解析9では、ボスチニブの投与期間において、一部の患者さんでALSの進行の停止がみられたこと、その目印となる可能性がある指標があったことが明らかになりました。ただし、本臨床試験に参加された患者さんの人数に限りがあるため、更なる検討が必要であると考えます。 ボスチニブはALSを適応症として日本および世界各国で承認されておらず、ALSに対する有効性、安全性ならびに適切な用量は確立していません。そのため、ボスチニブは現時点でALSの治療薬として使用できる状況にありません。

 今後、多くの患者さんでボスチニブの有効性を調べるために、十分な安全性を考慮した上で、次相以降の試験を行うことを計画しています。将来的には、現在研究を進めているAIを用いた疾患予測技術(参照:CiRAプレスリリース2021年2月24日)と合わせてALS制圧を目指していきたいと考えています。

5. 用語説明

注1)筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者さんを対象としたボスチニブ第1相試験
筋萎縮性側索硬化症患者さんを対象としたボスチニブの医師主導治験。

参照:CiRAプレスリリース 2019年4月23日

注2)忍容性
薬の副作用が患者さんにとってどれだけ耐えられるものであるかの程度。

注3)iMNシステム
iPS細胞に3つの転写因子Lhx3, Ngn2, Isl1を導入し、迅速に運動神経細胞を作製する方法。iPS細胞から、短期間に再現性良く大量の運動神経細胞を作製でき、化合物のスクリーニング研究に適している。

参照:CiRAプレスリリース 2017年5月25日

参照:CiRAプレスリリース 2017年2月2日

注4)有害事象
薬を投与された患者さんに生じたあらゆる好ましくない徴候、症状、または病気。

注5)iPS創薬
iPS細胞を用いた治療薬研究。iPS細胞は患者さんの遺伝子情報を有しているため、患者さんの病気の特徴を再現した細胞で化合物の効果を調べることができ、患者さんの病態にあった薬を抽出可能である利点がある。

注6)安全性評価委員会
治験依頼者、治験責任医師及び治験調整医師から独立した立場で治験の安全性データを評価し、治験の継続、変更又は中止を提言する委員会。

注7)ALSFRS-R
ALS機能評価スケール改訂版(ALS functional rating scale-revised)。

注8)ニューロフィラメントL
ニューロフィラメント軽鎖(Neurofilament Light chain)。神経細胞の軸索突起に豊富に含まれる細胞骨格の成分である。

注9)探索的有効性解析
臨床試験の主要な目的に沿った解析以外に、結果を裏付けるために行う解析や、素材の新たな可能性を発見するための解析。


音楽イベントのお知らせ

10月 2nd, 2021 | Posted by admin in お知らせ - (0 Comments)

広島国際大学医療福祉学科 難病プロジェクト様からコンサートのお知らせをいただきました。
会場は広島市内ですが、オンライン配信もあります。
無料イベントですが、参加・配信には申し込みが必要です。下記のいずれかの方法でお申し込みください。



出雲市にあります公益財団法人ヘルスサイエンスセンター島根内 しまね難病相談支援センターから、『土曜日の相談開始について』8月30日、下記の通り連絡がありましたのでお知らせします。


時下ますます御清祥のこととお喜び申し上げます。

当財団が実施する難病相談支援事業につきましては、平素より格別のご支援、ご協力をいただき厚くお礼申し上げます.

さて、しまね難病相談支援センターでは、難病に関するさまざまな相談をお受けしていますが、メール相談以外は平日のみの対応としていたため、これまで勤務の都合などで平日に時間が取れない方は利用しにくい面がありました。

こうした状況を少しでも改善し、利用者の便宜を図りたいと考え、下記のとおり相談日時を変更することとしましたので、お知らせします。

今後ともよろしくお願い申し上げます。

〔変更点〕

9月以降、毎月第1土曜日の9時から11時30分まで、電話による相談をお受けします(面談による相談は行いません)。相談開始日は令和3年9月4日(土)です。

なお、対応者に限りがあり、相談中など電話に出られないことがあります。その際は、しばらくしてからお掛け直しください。

〔問合せ先〕しまね難病相談支援センター 佐藤・布村

TEL 0853-24-8510、FAX 0853-22-9353

E-mail:s_hosoda@hsc-shimane.jp


本部からのお知らせ

8月 20th, 2021 | Posted by admin in お知らせ - (0 Comments)


シミックヘルスケア・インスティテュート株式会社殿より、厚生労働省委託事業「治験・臨床研究参画コーディネートモデル事業 パイロット調査」(*1)について、事業の周知と協力の依頼があり、企画調査部会、三役で主旨を確認し、協力することになりました。

詳細は以下の案内ならびに添付のパンフレットを御覧ください。

====案内==========
  • ご相談いただく方
    • 患者さん、その家族あるいは支援者のうち、
      1. 1.治験・臨床研究が気になりながらもどうやって探したらよいかわからない方
      2. 2.参加できる治験・臨床研究を探している方
  • 期間:2021年8月2日 ~2022年2月(予定)
  • ご相談方法
    • 電話:フリーダイヤル(0120-074-014)にて平日9:00~17:00におかけ下さい。
    • メール:HP(https://www.chikencall.com/)にあるお問い合わせフォームからアクセスください。
================

*1:治験や臨床研究の情報を探している方々が平等に情報にアクセスできるよう一元的に支援し、主体的に治験・臨床研究に参画できる体制を整備する事業ということです。

令和3年度は「特定の患者団体」による周知のもと行うパイロット調査(予備的な質的調査、仮運用)とのことです。

画像をクリックするとPDFが表示されます。

画像をクリックするとPDFが表示されます。


令和3年3月26日付で県健康福祉部健康推進課より連絡があり、例年開催されている『島根県難病等対策協議会』は、新型コロナウイルス感染症対策のため中止になりました。令和2年度協議会は資料を読み、4月30日までに各委員から意見を返す形となりました。当支部は4月8日に委員意見を提出しています。

資料の中から、ALSに係わることを中心に抜き出して報告します。提出した委員意見に対する県の回答を待っていましたが、コロナ対応で忙しいのか、8月16日現在、寄せられておりません。今後、回答が寄せられましたら、この場にて報告します。

(2021/8/17 景山敬二)

令和2年度島根県難病等対策協議会資料

 

  1. 指定難病医療受給者数の推移について
  2. 難病医療提供体制整備事業について
    • 難病診療連携拠点病院等の指定状況
    • 在宅重症難病患者一時入院支援事業利用状況
    • 在宅人工呼吸器使用特定疾患患者訪問看護治療研究事業利用状況
    • 難病医療提供体制整備事業報告
  3. 難病相談支援事業等について
    • 難病相談支援センター事業報告
    • 保健所における難病相談・支援事業等実施状況
  4. 参考資料「ALS患者の早期支援体制の構築について」
  5. 委員からの意見等(検討、意見交換した事項)について

1.指定難病医療受給者数の推移について

【受給者数】

指定難病医療受給者数       6,428人(令和3年1月末現在)
うち筋萎縮性側索硬化症        86人(令和3年1月末現在)・・・前年度末 91人

2.難病医療提供体制整備事業について

〇難病診療連携拠点病院等の指定状況

指定はいずれも平成31年3月1日

難病診療連携拠点病院(1ヶ所) 島根大学医学部附属病院
難病診療分野別拠点病院

(2ヶ所)

島根県立中央病院(視覚系を除く全疾患群)
国立病院機構 松江医療センター(神経)
難病医療協力病院
(23ヶ所)
松江圏域 松江市立病院、松江赤十字病院、松江生協病院、鹿島病院、安来市立病院
雲南圏域 雲南市立病院、平成記念病院、町立奥出雲病院、町立飯南病院
出雲圏域 出雲市立総合医療センター、出雲徳洲会病院、出雲市民病院、斐川生協病院
県央圏域 大田市立病院、公立邑智病院、仁寿会 加藤病院(川本町)
浜田圏域 国立病院機構 浜田医療センター、済生会江津総合病院
益田圏域 益田赤十字病院、津和野共存病院、益田地域医療センター医師会病院、六日市病院
隠岐圏域 隠岐病院

 

○在宅重症難病患者一時入院支援事業利用状況

県と在宅重症難病患者一時入院(レスパイト)支援事業の制度委託契約を交わした医療機関は7圏域・24医療機関。委託医療機関名を挙げるが、すべての機関で受入れ実績があるわけではない。

患者側としては、介護者の急な発病、希望入院日・日数等には応じてもらえないのがネックとなっている。レスパイト入院の相談・申込みは、難病相談支援センター・各保健所へ。

 

令和2年度契約先(令和3年1月末現在)

松江圏域 松江医療センター、鹿島病院、松江赤十字病院、安来市立病院
雲南圏域 雲南市立病院、平成記念病院、町立奥出雲病院、町立飯南病院
出雲圏域 出雲市民病院、出雲市立総合医療センター、斐川生協病院、県立中央病院、出雲徳洲会病院、島大附属病院
県央圏域 大田市立病院、公立邑智病院、加藤病院(川本町)
浜田圏域 浜田医療センター、済生会江津総合病院
益田圏域 益田赤十字病院、益田医師会病院、津和野共存病院、六日市病院
隠岐圏域 隠岐病院

〇在宅人工呼吸器使用特定疾患患者訪問看護治療研究事業利用状況

この事業は、筋萎縮性側索硬化症・多発性硬化症・脊髄小脳変性症等により在宅で人工呼吸器を使用している患者のうち、医師が訪問看護を必要と認める患者を対象としている。

訪問看護ステーションに訪問看護を委託し、診療報酬において定める回数を超えた訪問看護を実施する場合には、原則として1日につき4回目以降(ただし、特別な事情により複数の訪問看護ステーション等医療機関により訪問看護を実施する場合にはこの限りではない)の訪問看護について、患者1人当たり年間260回を限度として費用を支払うものとする。

利用状況表を見ると、1人の患者に複数回利用していることがわかる。

[利用状況]

松江圏域 2ヶ所の訪問看護ステーション
出雲圏域 2ヶ所の訪問看護ステーション
浜田圏域 1ヶ所の訪問看護ステーションが利用

〇難病医療提供体制整備事業報告

・難病診療連携コーディネーターの活動報告

難病診療連携コーディネーターが対応する相談件数は1,234件(令和2年12月末現在)。相談者は新規が3%、継続が97%とほぼ継続相談が占めている。相談件数の8割以上となる1,018件がALSである。ALS患者の療養環境の過酷さがうかがえる。相談内容は、病気病状がトップで、続いて意思伝達装置・治療服薬・日常生活・レスパイト入院・入転院・福祉機器・福祉制度となっている。

そのほか、個別のケース会議が53件(在宅サービス・退院前・治療選択・災害・コミュニケーションに関する支援会議)。入転院の調整が6件で、そのすべてがALSである。

*圏域別ALS患者状況(令和2年9月現在)

【島根県】R2年9月_圏域神経難病患者数

 

3.難病相談支援事業等について

〇難病相談支援センター事業報告

ヘルスサイエンスセンター島根内にある“しまね難病相談支援センター“は、難病患者・家族の各種相談やレスパイトを含む入院先の調整、就労・患者会活動支援など多岐にわたる難病患者の支援活動を行っている。

年度(令和2年12月末日現在)の総相談件数は485件(前年同月512件)。相談者内訳は、新規が118件(24.3%)、継続が367件(75.7%)である。難病診療連携コーディネーターが対応する相談と共に、やはり継続相談が多い。治療法のない、難病ならではの傾向と言えよう。相談方法では、コロナ禍のためか、面談は前年比のマイナス17.1%で、電話他が増えている。疾患別でみると神経・筋疾患は138件と全体の28.5%を占め最も多い。次いで免疫系、視覚の網膜色素変性症と続く。この傾向はここ数年変わらず、このことからもALS(筋萎縮性側索硬化症)・パーキンソン病・重症筋無力症などの神経・筋疾患を抱えての療養生活の過酷さが推し量られる。ALSのみは7件と前年度から半減している(前年度13件)。

神経内科・膠原病内科・眼科の医師等による専門相談も、新型コロナウイルス感染症対策で中止や延期になった回もあるが、各圏域で12回開催し(対面8回、リモート4回)、45の相談件数実績を残している。

支部も共催している難病サロンは、当初、各地で11回の開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染症対策ですべて中止となった。

患者会活動支援も各会の活動が感染予防のため縮小し、交流会・総会等の開催支援の機会が減った。

難病相談支援センターは各保健所と連携し、各種相談にあたっている。

 

〇保健所における難病相談・支援事業等実施状況

保健所においては、『患者・家族教室』『ピアサポート・ボランティア養成』『難病医療研修』『難病フォーラム』等を開催して支援にあたっている。『患者会支援』も行い、当支部も会報や総会の案内状を県内の全ALS患者に配布してもらっている。

こちらも感染予防のため各保健所で中止になった項目も多い。難病フォーラムは、雲南保健所が幹事となり計画されていたが、中止となった。

また、『在宅療養支援計画策定・評価事業』『訪問相談事業』『訪問指導事業』で、主にALSはじめ神経難病患者の療養支援やQOLの向上にあたっている。さらに各圏域で『難病対策地域協議会』を開き、市町村や病院・訪問看護ステーション・介護事業所などと意見・情報交換を行っている。

 

 

4.参考資料「ALS患者の早期支援体制の構築について」

かねてより支部は、当協議会において、〈告知直後の難病患者の心理的ケアの充実を図ってください。我々のような難病患者は、確定診断の際の「はじめて聞く病名」「原因不明」「治療法なし」との言葉に先の見えない不安と混迷に突き落とされます。とくにALSの場合は「3年から5年」と余命宣告も受けますので、患者の喪失感はとても深いものです。多職種が一堂に会した支援者会議も開かれるのはある程度病状が進んでからであり、告知直後の不安解消にはなりません。告知直後に多職種からの支援を得られることがわかれば、患者の不安はずいぶん和らぐことでしょう。『治療法はなくとも楽に生きる』ために、告知直後のALS患者の心理的サポートをお願いします。〉と訴えてきた。

今般、島根県難病等対策協議会はALS患者の告知時からの早期支援体制づくりのため、患者・家族向けに「難病の療養相談のご案内」を作成した。その上で、3ヶ所の難病診療拠点病院と23ヶ所の難病医療協力病院へ向け、告知時の活用と、患者側の同意が得られれば、早期にしまね難病相談支援センターと各保健所への連絡を依頼した。

病院からの連絡後は、難病診療連携コーディネーターと各保健所が協力し、速やかに相談に応じることとしている。

 

*参考資料

参考資料

5.委員からの意見等について

 

日本ALS協会島根県支部

令和2年度島根県難病等対策協議会 委員意見

 

日本ALS協会島根県支部
支部長 景山敬二

日頃より、難病対策の推進ならびにご支援にご尽力を賜り、厚く御礼申し上げます。
難病当事者として、更なる療養環境の改善支援策に次の三点を申し入れます。

  1. 昨年からの新型コロナウイルスの感染拡大による混乱は、収まる気配さえありません。日本ALS協会の調査では、幸いにもALS患者の中に感染者は報告されていませんが、呼吸筋にも障害が起きるALS患者が感染した場合、特に重篤に陥ると予想できます。
    感染予防として、マスクの着用と手指消毒が有効とのことでしたが、一時期、全国的なマスク・消毒用エタノールの不足が混乱に拍車をかけました。医療機関には国や自治体からマスク・消毒用エタノールが優先的に回されたようですが、一部の地域では在宅人工呼吸器使用患者宅において、痰吸引時に必要なアルコール綿といった衛生資材不足も聞いております。また、在宅人工呼吸器使用患者宅では介護する家族が感染すると、患者も濃厚接触者となってしまいます。
    今後も同様の事態は十分に予想されます。そこで有事の際は、県および中核市である松江市においては、備蓄したマスク・消毒用エタノール・アルコール綿を在宅人工呼吸器使用者宅・訪問看護ステーション・医療的ケア(第三号)登録訪問介護事業所へ優先的に供給する仕組みづくりを構築してください。
    どのような時であっても、難病患者が不安なく療養生活が送られる体制をお願いします。
  2. 医療機関においては、院内感染を防ぐため、2月下旬には面会規制が敷かれ、3月に入ると県内のほとんどの病院で面会禁止になりました。厚生労働省の通達による措置であることは承知しております。
    他県では複数の病院でクラスターが発生しましたが、県内では医療従事者の方々の行動の節制と努力のお陰で院内クラスターは発生していません。また、新型コロナウイルスによる死者が出ていないのは、全国で島根県だけです。その点においても、医療・行政関係者の方々に感謝申し上げます。
    私たちALS患者は、その症状から、社会からの孤立感を常に強く抱いています。意思伝達装置を使い要望を伝えることができる私でさえ、家族との長期間の面会禁止はストレスがたまる精神的に厳しい期間でした。コールを押せず、自身の意思を伝えることも出来ない重症ALS患者にとっては、身体的にも精神的にも辛い期間であったと推察します。
    私はたまに、病棟スタッフから「そんなにイライラしないで」と声を掛けられました。あの状況下では面会禁止は妥当な措置だったと考えますが、医療関係のかたは、入院患者の家族にさえ会えないイラ立ち・無念さ、患者家族の心配する気持ちをご理解ください。
  3. 昨年7月23日に報道された京都市ALS患者嘱託殺人事件は、ALS患者・家族のみならず社会に大きな衝撃を与えました。
    報道後、しまね難病相談支援センターには患者家族から関連の相談が増えたと聞き、県外にはうつ症状を呈した患者もいると聞いています。
    全身が動かせない状態や治療法がないことなどから、ALS患者の心は「もう死んでしまいたい」と「生きていて良かった」とのはざまで激しく揺れ動きます。患者の一時の「死にたい」を鵜呑みにしないでください。患者の「死にたい」は「もっと生きたい」の裏返しです。亡くなった女性患者が訴えた『安楽死・尊厳死』を議論する前に、何が「死にたい」と言わせているのかを見極め、それを取り除く必要があります。
    患者の心理的サポートの場づくりを強く要望します。特に告知直後の患者は、原因も治療法も不明に強く混乱・絶望し、先の見えない不安におびえています。難病を罹患しても楽に生きるため、この時期の『緩和ケア』をお願いします。と、長年この協議会でも訴えて参りましたが、参考資料にあるように支援体制を考えていただきありがとうございます。
    ピアサポートなど、当支部もできる限りの協力をいたします。